人気ブログランキング | 話題のタグを見る

10月9日ニューカマー第1巻発売

10月9日(木)「NEW COMER-ニューカマー来るべき者達-第1巻」発売。
少女のケイが登場するプロローグ編をお楽しみください。表紙はこれ。是非ご購読を!
10月9日ニューカマー第1巻発売_b0112134_22173858.jpg

  # by mind-house | 2008-10-06 23:02

第57回心ぴくコーナー

第57回目の心ぴくコーナーです。今回観た映画は「崖の上のポニョ」「ダークナイト」「百万円と苦虫女」「インクレディブル ハルク」「ハムナプトラ3」「ハンコック」「イントゥ・ザ・ワイルド」「アイアンマン」の8本です。
「崖の上のポニョ」
5歳児のために作ったと監督がどこかで話していたように思います。そんなマンガ映画です。
「百万円と苦虫女」
出だしは最高に面白く、終盤までかなり楽しめて観ることができました。ただ期待しすぎたせいかラストがどうも・・。私的には惜しい作品です。
「インクレディブル ハルク」
1作目よりかなり面白かった。ただラストのヒーローとしての敵を気遣った戦いに少し興醒めしてしまいました。
「ハムナプトラ3」
2の面白さのファンなので見に行きました。
やはり2のほうが面白かったです。
「ハンコック」
シャーリーズ・セロンのファンなので見に行きました。
コメディーとしてはあまり笑えるところがなく、ヒーローバトルものとしては手に汗握る演出がされてないように思いました。
「イントゥ・ザ・ワイルド」
性格俳優として好きなショーン・ペンの監督作ということで期待をして観にいきました。
トラウマを抱え、しかし金銭的に豊かな家庭の息子が、全てを捨ててアラスカの大地に一人の力で生き抜くために旅立つという実話を基にした映画です。
しかし表面上のトラウマ演出ばかりでどうしても主人公に感情移入できず、最後まで見て思ったことは、素人が本等で呼んだ知識で食べられる野草を選ぶことなど出来ないということ。失敗したら大変なことになりますよ。ということでした。
「アイアンマン」
武器商人が主人公で、アフガニスタンで捕虜になり命をかけて守ってくれた捕虜の友人の為に敵を討つという前半はかなりの面白さです。
しかし後半にはその友人のエピソードは一切出てこなくなり、能天気な主人公の活躍ばかりになります。登場人物の性格づけが雑な感じがして、秘書の女性(グィネス・パルトロウ)など何を考えているのかわかりません。まさに血の通っていないアメコミのままのヒロインなのでしょう。敵の武器商人(大好きな俳優ジェフ・ブリッジス)などやはり薄っぺらなアメコミの悪役で演技派を使った意味がありません。それならせめて最後の戦いくらい痛快に描いてほしかったのですが、出来の良くない1作目のハルクのように画面いっぱいに稲妻が走りエネルギーが破裂しておしまいというよくあるパターン。
途中まで良かっただけに、だまされたような感覚が悔しい1本です。
ヒットしているようなので次回作は、是非とも人間ドラマが描けるうまい監督に撮ってもらいたいものです。

 
ということで第57回目の心ぴく映画は断トツで
「ダークナイト」です。
なんと2回も映画館に足を運んでしまいました。
コミックバンチのコメントページにも書きましたが、
まさにヒーローものを超えたノワール(暗黒)映画の傑作となっています。
ニューヨーク在住の映画評論家の人がラジオで言っていたのですが、近頃のハリウッド映画の資本はほとんどが投機マネーで、だから絶対にもうかると思われる企画にしかお金が集まらないそうです。となると重厚な人間ドラマより、はでなCGを駆使したアメコミ映画が多く作られるのは当然で、空虚な大作の羅列となるわけです。
ところがそれを逆手にとり表向きはバットマン映画であるということで資金を集め、クリストファー・ノーラン監督は犯罪映画の傑作をものにしました。
意固地なまでに正義にこだわるバットマン。ただ破壊と人殺しだけに快感を覚える異常者ジョーカー、意固地な正義と異常な悪の間、人間としての理想を貫こうとしてやがて精神に異常をきたす検事トゥーフェース。
すべての人の運命が暗く陰惨な方向に傾いていきます。
男たちが自分の美意識に忠実に行動しやがて滅び去っていく。これがノワール映画の基本です。
だからギャング(マフィア)映画、やくざ映画の傑作はほとんどがこれに該当します。
そしてとうとうアメコミヒーロー映画が歴史始まって以来、はじめてこの分野に進出してきたのです。
ジョーカーは快楽殺人鬼そのもののように演出されています。まるで<セブン>でケビン・スペイシーが演じた殺人鬼をほうふつとさせます。バットマンの恋人を捕らえバットマンや警察を翻弄するくだりで、人の弱さを利用する異常者ジョーカーがまさにそれです。バットマンの焦りゆえにジョーカーを取調室で殴りまくるシーンは、やはりノワール映画の傑作<LAコンフィデンシャル>を思い起こさせます。すべての罪をかぶるバットマンはまさに任侠映画の健サンではないでしょうか。というふうに派手なシーンをふくめて男が胸震える演出となっているのです。
正直言うと、この脚本は、リアルな人間でやる犯罪映画で見たかったというのが私の理想なのですが、そういう映画に資本が集まらないのだから仕方ありません。
いや、もしかしたらリアルな今のアメリカの姿を映し出しているのがまさにこの「ダークナイト」かもしれないのです。
イラク、テロ、サブプライム、リーマンショックなどで明日が見えない不安。それをジョーカーの甲高い笑いとバットマンの異様なコスチュームが表しているようにも思えます。
次回作のバットマンでは残念ながら名優ヒース・レジャーが亡くなったのでジョーカーの出番はありませんが、ぜひともジョニーデップあたりがリドラーにでもなってゴッサムシティーを新たなる地獄にたたき落としてもらいたいものです。
この映画が偶然の産物として傑作になったのか、しっかりと計算された演出で傑作になったのかどうかの真価が問われるのは次回作だと思います。
名監督でも2本続けての傑作は無理かもしれませんが、ノーラン監督ならやってくれると絶大なる期待をさせてしまう。それほどの傑作と断言していいのがこの「ダークナイト」です
最後のバットマンの後ろ姿に男泣きしたい人、是非とも行ってください。
超お勧めの心ぴく映画です。また見に行こうかな。

  # by mind-house | 2008-09-28 00:27

第56回心ぴく映画コーナー

第56回目の心ぴく映画コーナーです。
今回観た映画は「インディー・ジョーンズ クリスタルスカルの王国」
「告発のとき」「休暇」「シークレット・サンシャイン」「帰らない日々」の5本です。
「インディー・ジョーンズ クリスタルスカルの王国」
正直ガッカリしました。私は<レイダース 失われたアーク>の大ファンです。
<未知との遭遇>も大好きで3回も映画館に足を運びました。
<ジョーズ>も<激突>も<続激突カージャック>も大好きで何回も見ました。
しかしそれからのスピルバーグ作品には正直乗れませんでした。<ET>は子供向けの傑作だと思いますが、それ以後アカデミー賞狙いで撮った<シンドラーのリスト>は本当に惜しい傑作だったのですが(ラストのシンドラーが泣く演出がちょっと・・)、すこし首を傾げ出したのはその頃からで、どうも人間ドラマとアクションシーンの演出がばらばらの印象を受けてしまうのです。たとえば人間ドラマのはずの<太陽の帝国>で捕虜のアメリカ人が、隠し持っていた拳銃を抜く時、必要以上のカット割りを使って、娯楽作品のようなハラハラドキドキを観客にしてほしいと露骨に分かるようなサスペンスシーンの不自然さ。
<プライベート・ライアン>の出だしのドキュメンタリーのような映像と、それからのシーンのあまりの違和感。そしてラストの変な演出。
<宇宙戦争>の娯楽作を作りたかったのか、人間ドラマを撮りたかったのか分からない中途半端な感じ。
そしてバリバリのエンターティメント、インディー・ジョーンズの続編。
とうとうスピルバーグに私の願いが通じて、「アカデミー賞監督という名声などいらない。私は娯楽作一本で行くんだ」と腹を決めてくれたのだと勝手に期待した次第です。
見事に裏切られました。
おそらくスピルバーグは映画なんてもう作りたくはないのでしょう。
アクションシーンで眠くなりました。しっかり計算して子供にも見せなくてはいけないから怖いシ-ンを省いてあります。だから当然大人がハラハラするわけがなく睡魔が襲ってきたのです。
でも世界中で大ヒットしているそうですから計算が大当たりですね監督。
これでわかりました。スピルバーグが目指しているものは映画監督ではなく、ヒットするか否かだけを考えているプロデューサーだということを。
ライバルは、偉大なエンターティメントの監督たちではなくて、あの大物プロデューサー、ジェリーブラッカイマーなのですね。
わたしはジェリーブラッカイマーがプロデュースする作品は基本的に見に行きません。計算ばかりが鼻について作品に乗れないのです。それに監督の力がプロデューサーより弱いので、監督の色が出ず独創的な作品は望めません。
スピルバーグ作品がそうなってしまうのはとても悲しい事ですが、仕方ありません。
そんな、わが青春時代の素晴らしき思い出が悲しいものに色褪せてしまった。墓標的作品です。
「帰らない日々」
惜しい作品です。
主演のホワキン・フェニックス。ジェニファー・コネリーの演技やほかの登場人物の演技が素晴らしかっただけに、ただ悲劇の連鎖をシュミレーション的に見せられた物語に、いま一つ感が残ってしまいました。
ラストからの物語が見られたら深い人間ドラマになっていたと思います。
その成功例が後で書く「シークレット・サンシャイン」です。
これくらいとは言わないまでも、もっと人間の深いところに突っ込んでほしかった。そんな印象の映画です。
というわけで今回は3本の傑作が心ぴく映画となりました。
「告発のとき」
戦争の真実を描いた傑作が、<父親たちの星条旗><硫黄島からの手紙>のイーストウッド。ポール・ハギス コンビの手で三度作られました。
戦争=狂気それ以下でも以上でもないことが前2作よりも淡々としかし衝撃的に語られています。イラクから戻り、軍を脱走した息子を捜す元軍警察の父親トミー・リー・ジョーンズ。すばらしい演技です。息子の秘密が薄皮を剥くみたいに明らかになる度に、陰影を増してゆく父親の演技は震えるほど見事でした。
この父親はどうやら、ベトナム戦争には行ったが軍警察ゆえにサイゴンの治安を守る仕事が主で、戦闘には参加してないように描かれています。これが作品的に重要なところで、代々軍隊に入る家系で、軍を信じている父親が、軍隊の本当の姿を観客とともに知ってゆくある意味ミステリー仕立てともなっています。
この構成が見事です。
戦争の本質を知るのは戦場で死の恐怖を体験した者しかいないということがよくわかります。
しかし、それを一度体験すると、心に取り返しに効かない傷を負ってしまい、元の自分には戻れないのです。
それほど罪深い戦争というものをこの映画は真正面から描ききっています。
元軍警察官の父親が、訓練され体に染みついた軍の教育のため、たとえモーテルの部屋でも朝起きたらベッドメーキングをしてしまうシーンが切なく印象に残ります。
とにかく見てください。
たとえ正義の戦争でも、あなたが権力者の身内ではない限り、始めてしまったら、戦場に行かされるのは紛れもなく私たちなのですから・・。
その為に、すこしでも戦争の真実を知りたいのなら、この作品をぜひ見てください。
過去でも未来でもなく、現実に起こっている戦争が描かれています。
必見の大傑作です。
「休暇」
とうとう日本映画に紛れもない大傑作が生まれました。
それも今、日本映画が最も不得意とする社会派という分野で誕生したことは驚愕に値します。
社会派の衣を被った泣かせ作品は多々ありますが、私が見た作品の中では<それでも僕はやってない>以来だと思います。
あの作品も素晴らしかったのですが、私の心をぴくぴくさせまくったシーンはこの作品が遥かに上です。
まず脚本が素晴らしい。不自然なところが全くありません。
ユーモアあるシーンでもリアルなのです。当然だと思われるかもしれませんが、
この過去10年間ぐらいの日本映画のほとんどには、普通の人が絶対話さないようなセリフが出てきます。マンガの映画化が多いせいか、マンガから影響を受けた映画が多いせいか、
まるで漫画の吹き出しのようなセリフの連発なのです。
マンガはセリフで状況を説明することが多々あります。それは紙に描いた動かない絵だから仕方のないこともあると思いますが、映画は生身の人間が演じているのだからセリフだけではなく無言の演技で画面を作ることができるのにと思います。
それができない映画は、アニメ好きの、人間にあまり興味のない監督が絵の代わりとして役者を使っているようで気持が悪い感じがします。
ずばり言ってそんな映画は、私は見たくありません。
この映画のような、映画でしか語れないものを見たいのです。
刑務官と死刑囚の物語です。
時間が行ったり来たりしますが、違和感を、全く感じさせません。素直に観客を物語に引き込む見事な演出になっています。そして登場人物の過去を過剰に説明しない潔さ、今の説明過剰なテレビドラマのような映画に慣れた観客には物足りないかもしれませんが、このリアルさが映画なのです。
セリフではなく死刑囚の青年が犯した罪を観客に分からせる1シーンが見事です。
それにしても一瞬も飽きさせないこの監督の手腕には脱帽させられます。
すべてのシーンが誤解を恐れず言うならば、ズバリ面白いのです。
切ないシーンも、ユーモア溢れるシーンも全ての映像が生き生きとしているのです。
おざなりにとったシーンが全くないといってもいいでしょう。
役者も全て良いです。主演の刑務官を演じる小林薫のいい意味でのとらえどころのなさ。一途に小林を思う再婚相手の大塚寧々の凛とした女の強かさ。
死刑囚の青年の淡々とした演技、特に妹との面会シーンの素晴らしさ。
ラストの緊張感漂うシーンは言うに及ばず、温泉旅行の小林薫と大塚寧々のシーンはまさに人間を描いたシーンとして目に焼き付いて離れません。
そんな素晴らしいシーンの連続です。見終わった後自然に眼がしらに涙がたまっていました。
まさに人間を描いた傑作です。今年、これまでに私が観た映画の中で一番好きな映画かもしれません。とにかく観てください。
紛れもない心ぴく映画の傑作です。
「シークレット・サンシャイン」
韓国映画です。
残酷な事件に巻き込まれた母子がたどる癒しの物語、と書けば最後、涙で終わる感動作だとお思いでしょうが、そこは心ぴく映画です。
それだけで満足する私ではありません。
この映画が凄いところはその先を描いているところです。
残酷な運命に巻き込まれた母親は、宗教に救いを求めます。
カルトなんかじゃありません、立派な団体にです。
そこで母親は完全に癒されます。自分たち母子を残酷な犯罪に巻き込んだ相手さえも許そうとします。いや明らかに許していました。
その犯人のある言葉を聞くまでは・・・。
本当に素晴らしい映画です。人間は神にはなれないことがよくわかります。
だから歴代の宗教家はその矛盾に苦しみぬいたことは、歴史を見てもよくわかります。
おそらく一生悟れないということを悟って死んでいったのでしょう。
本当に深い映画です。最後の何でもないシーンが印象深くいつまでも心に残ります。
主人公である母親を慕う、自動車修理会社の社長役のソン・ガンホの演技が相変わらず素晴らしく深刻なドラマの潤滑材になっていて見事です。
超お勧めの心ぴく映画です。
おそらくやっている映画館は極端に少ないでしょうからDVDで見てください。
今の日本映画やハリウッド映画にはない深い感動がここにあります。保証します。

  # by mind-house | 2008-08-06 22:13

第55回心ぴく映画コーナー

第55回目の心ぴく映画コーナーです。
今回観たのは「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ランボー最後の戦場」「ミスト」「ハンティング・パーティー」「Mr.ブルックス」「幻影師アイゼンハイム」「イースタン・プロミス」「アフタースクール」の8本です。連載が始まったばかりなので何とか暇を見つけて行ったのですが、2か月も期間があったのに、この本数になってしまいました。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
ラストの衝撃で心ぴく寸前にまでいった面白映画。
映像の迫力は人間ドラマを超えアクションホラーの域まで達していたように思います。
しかしそれが成功していたかどうかは疑問で、尖った人間だけのドラマは逆にリアリズムを薄くしていたように思いました。
この監督、好きな人も多いようですが(確かに私も初期の傑作「ブギーナイツ」は大好きです)他の作品もこけおどし的な展開が多いように思うのは私だけでしょうか?
それでも確かに今のアメリカ映画の中でこの映画の面白さは水準以上だと思います
「ハンティング・パーティー」
実際の戦争犯罪人とそれを追う記者たちがモデルのフィクション映画。
期待して観に行きましたが途中からリアリズムが薄れてきて、ラストはこんなこと有り得るのだろうか的感じ。それもそのはずで、実際にいる人をモデルにしただけの娯楽映画。それならそうと大嘘だと出だしから分かるように創って欲しかったように思います。
「Mr.ブルックス」
ケビン・コスナーが連続殺人鬼を演じ、周りを渋いウィリアム・ハートや久しぶりのデミ・ムーアで固めた珍作。
殺人鬼の感情に色々と詰め込みすぎてとっ散らかった印象になった作品。
前もケビン・コスナーがプレスリーの真似をする冷血な悪役を演じる映画があったことを思い出しました。それと比べると少しは良かったように思います。
「幻影師アイゼンハイム」
エドワード・ノートン主演ということで観に行きました。
少し前に見た人体コピー機が出てくる大反則マジック映画のことを思い出し少し不安に思いましたが、そんな話にはならず面白く観られました。
しかし、CGでなんでもやれるせいか、マジックのシーンがありえないほどの映像で展開され、ネタ晴らしもされないまま終わったので少ししらけてしまいました。
納得するネタ晴らしがあったら傑作になったように思います。
「アフタースクール」
途中までとてつもなく面白くなく映画館を出ようとさえ思いました。しかし少し謎が解け始めてから俄然面白くなって、ラストは満足して映画館を出ることが出来ました。
おそらく前半の面白くなさは監督が主人公クラスの人たちを謎めいたままにしておきたいがために個性まで消してしまい誰にも感情移入出来なかったせいだと思います。
それが出来ていれば傑作になったと思いますが、惜しい面白日本映画です。
というわけで今回の心ぴく映画は「ランボー最後の戦場」「ミスト」「イースタン・プロミス」の3本です。
「ランボー最後の戦場」
戦争そのものを観客に体験させようとしている映画です。
それが<ランボー>という題材に適しているかどうかは分かりませんが、とにかく画面から溢れるパワーは半端なものではありませんでした。
まずタイトル画面の、実際のミャンマー独裁政権が犯した蛮行の写真が強烈です。
そして本編の虐殺シーンの凄まじさ、そしてラストまで続くCGで丹念に作られた人体破壊シーンの数々。
スタローン監督が映画の歴史始まって以来、誰も見たことがないヒーローものにして反戦映画という稀有なモノを撮ろうとしたのかどうかは分かりませんが、かなり心臓にぴくぴく来る映画になっていたのは事実です。万人にお薦めする映画ではないですが、感情をどんよりと揺さぶられたい人に見てほしい映画です。
とにかく凄まじい心ぴく映画です。
「ミスト」
怪奇幻想映画の傑作です。
最初から最後まで不安という空気感が支配している構成は、やはりスティーブンキング原作のお気に入り映画<ペット・セメタリー>に共通しているところがあり、いっさいダレルところがありませんでした。
異次元から襲ってくる怪物ものとして始まり、閉鎖された空間で次第に正気を失っていく人々、そしてある意味人間の業が引き起こしてしまった衝撃の結末。
デビット・フィンチャーの<セブン>に近い衝撃を受けました。
しかし怪物の造型の素晴らしいこと。最後に出てくる巨大なモンスターは荘厳さまでかもしだしているようでした。
こう感じるのも私が幼い時に見たイギリス・ハマープロ制作の魔境映画<魔獣大陸>以来ラブクラフト的怪物に魅せられているからかもしれません。
そんな私のトラウマ的感情を呼び起こしてくれた心ぴく映画の傑作です。
「イースタン・プロミス」
とうとうクローネンバーグ監督がノワール映画の傑作を作ってくれました。
まず、裏社会でしか生きられない男たちの暴力の匂いが漂ってきそうな画面作りの見事さに唸らされ、移民問題が深刻なロンドンの街の雰囲気が、物語に泥臭いリアリティーを与えるのに成功しています。
だからラストのどんでん返しも素直に心に響き、最後の主人公の表情が深い余韻を残します。
いままでクローネンバーグ作品で一番好きだったのは<ザ・フライ>でしたが、この作品になったかもしれません。
とにかく同じ主人公で続編を見たい!そう思わせてくれる傑作です。
主人公のヴィゴ・モーテンセンの体を張った演技がとにかく素晴らしいの一語です。
とくにサウナでの死闘は、アクションシーンの名場面の一つに数えられるに違いありません。
まさに今絶滅に瀕している男の映画です。ロバート・アルドリッチ。黒澤明。深作欣二。を彷彿とさせます。
今流行のアニメを人間が演じるような玩具のようなアクション映画とは根本的に違う本物の映画がここにあります。
傑作です。観てください。
しかしなぜこの名作がR18で、東京でたった2館でしか見られないのでしょうか?
殺してもすぐに立ち上がるゲームの映像ばかり見せるより、暴力の怖さを見せ付けるこんな傑作を中学生に見せるほうが、よほど暴力の抑止になると思うのですがどうでしょう?
人間が悩み苦しみながら暴力に走ってしまうドラマや映画を子供のころから見ていた私たちの世代に猟奇的な殺人犯が多数いたという話は聞きません。
それより、リアリティーもなく人を殺し、またすぐに生き返る映像の方が不気味だと思います。まず暴力の痛みを感じさせた上で、フィクションと認識してゲームをやればベストだと思いますが、それも出来ないので、疑似体験として切ないほどの感情が描かれたバイオレンス映画を中学生から見せましょう。暴力はやったほうもやられたほうも恐ろしいことになると思わせるような・・・。
そうすればゲームの映像を見て影響され、やってみたいと思う子供も出てこないと思います。
だからシネコンでもバンバンやってほしいと思います。
そういう気持ちにさせてくれる傑作心ぴく映画です。

  # by mind-house | 2008-06-27 12:10

5月23日新連載開始

2008年5月23日、週刊コミックバンチ誌上にて、いよいよ巻来功士の新連載が開始されます。
題名「ニューカマー(来るべき者たち)」。ご期待ください。
表紙画像はこれ!
5月23日新連載開始_b0112134_005471.jpg

  # by mind-house | 2008-05-13 00:01

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE