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第67回心ぴく映画コーナー

第67回心ぴく映画コーナー(上)です。
この4ヶ月間に観た映画はた「再生の朝に‐ある裁判官の選択‐」「幸せの始まりは」「男ちの挽歌」「ヒアアフター」「英国王のスピーチ」「ザ・ファイター」「愛する人」「SOMEWHERE」「悪魔を見た」「アメイジング・グレイス」「シリアスマン」「エンジェル ウォーズ」「トゥルー・グリット」「ブルーバレンタイン」「キラー・インサイド・ミー」「アンチクライスト」「生き残るための3つの取引」「塔の上のラプンツェル」「ブラック・スワン」「アウェイク」「ショージとタカオ」「ファースター怒りの銃弾」「アジャストメント」「Xメン‐ファースト・ジェネレーション」「アリス・クリードの失踪」「スカイライン‐征服‐」「ロスト・アイズ」「127時間」「ドリーム・ホーム」「ビューティフル」の30本です。
今回のしょんぼり映画は5本です。
「悪魔を見た」『オールドボーイ』のチェ・ミンシクとイ・ビョンホン共演のサイコサスペンスなので期待して見に行きました。
しかし、ただ、だらだら続く残酷描写を見せられただけの印象しか残りませんでした。
途中出てくる、殺人鬼達がブラックな笑いを提供してくれるかと思ったらそうでもなく、情の世界で終わってしまって、突き抜けた感じにはならなくて残念な印象の映画になっていました。そんな、いや~な感じのカルト映画が好きな人にはもしかしたら楽しめるのかもしれません。そんな映画です。
「アメイジング・グレイス」英国で初めて、奴隷貿易禁止の法案を議会に提出した議員の戦いの行く末を描いた感動作です。ストーリーは良いのですが、奴隷たちの心情が胸に迫るように描かれてなく、まるでテレビドラマのような凡庸な演出と、オーラがない主演男優がせっかく脚本を台無しにしているような映画になっていました。テレビでよくやっている歴史再現ドラマを、お金を出してもみたいという人にはお勧めかもしれません。
「ヒアアフター」クリント・イーストウッド監督のように高齢でなければ描けなかった映画かもしれません。
死に直面した人々が、舞い戻った現実社会でどうそのトラウマに対峙するかが、淡々と描かれています。この淡々の所で少しうとうととしてしまいました。
わざと盛り上がらないような演出をしたかのように、こちらが期待した出来事は見事に何も起こらないのです。そしてラストシーンでやっと監督が言いたかった事が分かるのですが、
このシーンが答えではなく始まりになっているのです。つまり途中の淡々さを飛ばしてラストから始めれば感動作になったのではないかとまで思えたほどでした。私にとっては大好きなイーストウッド監督の久々の失敗作だと思います。次に期待します的作品でした。
「アジャストメント」配給会社の宣伝文句、サスペンスアクションなどでは全くない映画。
奇妙な味のショートショートを無理やり伸ばして作ったような作品でした。
敬虔なキリスト教信者の人に感想を聞きたい欲求に駆られるほど、この監督が観客に何を伝えたかったのか、意味不明でした。
「ドリーム・ホーム」残酷描写だけが見どころの映画。バカバカしい位にそれに徹底して描いていれば、ある意味ブラックギャグの利いた、笑える面白映画になったと思いますが、社会派の衣をつけたばかりに、過去の回想場面での失速感が致命的になり、ただいやな感じが前面に出てしまった作品。
才能のある監督には間違いないと思うので、次回作に期待します。
次は面白映画10本です。
「幸せの始まりは」主人公の青年の、父親役のジャック・ニコルソンがいい味出している恋愛映画。
アスリート同士の恋愛模様に笑わされました。
「男達の挽歌」ジョン・ウー監督の香港映画を韓国でリメイクしたアクション映画です。
ある意味、軽いからアクションが生きる作品になっていたオリジナルに比べ、リアルな南北問題を取り入れた本作は、アクションシーンの派手さと南北問題を背負った兄弟の葛藤のシーンがチグハグな印象になってしまい残念でした。
ただ作品を貫く熱気は、流石勢いに乗っている韓国映画の面目躍如というところでしょうか。
最後まで飽きさせない映画にはなっていたと思います。
「英国王のスピーチ」皇室に憧れを抱く、アメリカのセレブ会員達が投票して賞を与える米アカデミー賞で、作品賞ほか主要部門を独占した映画。
ある意味それだけの、あまり深みのない良作(?)でした。
「エンジェル ウォーズ」出だしとラストは素晴らしい惜しい作品です。
脳内で繰り広げられるファンタジー的戦いは、現実世界の絶望的緊張感と比べて退屈な印象でした。そのちぐはぐさがやっとラストになり解消され、ザック・シュナイダ―監督節全開となるのですが、あまりに脳内イメージ世界の長さに正直飽きました。
惜しい本当に惜しい心ぴく映画になり損ねた面白映画です。
「ブルーバレンタイン」愛し合い、良い夫、妻になろうと努力する男女の愛が壊れる様を描いた傑作、<レボリューショナリー・ロード>を思い浮かべて見に行ったのが間違いだったのか、壊れるべくして壊れた夫婦の話という印象でした。
ただその過程の描き方がリアルで、中だるみを一切感じさせない面白映画でした。
「塔の上のラプンツェル」グルム童話をアニメ化したディズニ‐映画です。空に無数の灯篭が舞い上がるところは美しく、一見の価値があります。そんな面白映画です。
「アウェイク」手術中麻酔覚醒、という恐ろしいテーマを扱った映画という事で期待して見に行きました。
しかし、その恐ろしさは、途中から曖昧になり、陰謀サスペンス物になって、見事(?)な、どんでん返しで終わってしまいました。1時間半という時間を効率的に使った面白映画です。ただ私の期待していたすごく痛くて怖い映画にはなっていませんでした。
だから、一般向けのサスペンス映画なので楽しんで見てもらえる映画だと思います。お勧めです。
「ファースター怒りの銃弾」惜しい復讐アクション映画です。登場人物や銃撃シーンの演出は見事で引き込まれますが、
作品のトーンが一定していない為にワチャワチャした印象の映画になっていました。
出だしは、ポップなガイ・リッチー的で、後半ノワールタッチになるとでもいいますか・・。
それが統一されていれば傑作になったと思うのですが・・。
しかし見て損はない、面白アクション映画です。
「Xメン‐ファースト・ジェネレーション」大傑作<キック・アス>監督作という事で期待して見に行きました。
期待が大きすぎたようでした。普通に面白いヒーローアクションものになっていたのにR指定にしない為に無理して創っているんじゃないかと勘ぐってしまうような演出ばかりが鼻についてしまいました。まあハリウッド、ビッグバジェットムービーだから仕方ないか・・的映画です。ただ映画としては、けっしてつまらない映画ではありません。
安心して見られる面白アクション映画です。
「SOMEWHERE」映画俳優とその娘の話です。娘役の美少女が素晴らしく、彼女を見るだけでもおつりがくる映画です。話そのものは、ただいつもはなれている二人が父親の仕事でヨーロッパに一緒に行く、その道中と前後の数日を描いているだけです。しかし、このなんということはない描写に、監督であるソフィア・コッポラの演出がマッチして奇妙な面白さを引き出していました。限りなく傑作に近い面白映画でした。
いよいよ傑作映画8本です。
「生き残るための3つの取引」主人公が、悪徳警官、悪徳検事という韓国ノワール映画です。
とにかく面白い。虚々実々の駆け引きというより、劣等感を持った男達が泥沼の中を這いずり回り、自滅してゆく様が圧巻でした。こんな男達の内面をえぐる作品を作り続ける韓国映画を心底うらやましく感じました。そんなお勧めの傑作映画です。
「再生の朝に‐ある裁判官の選択‐」中国の法律が近代的に改正される直前に、旧法により裁かれ車泥棒の罪だけで死刑の判決を言い渡された男と、担当裁判長を軸に話が展開する佳作。
中国の庶民のリアルな生活描写が見事でした。それに死刑がまだ中国では見せしめのものであるという事が実感できて、衝撃的でした。お勧めの傑作映画です
「ザ・ファイター」実在のボクサー兄弟を描いた映画です。名トレーナーだけど麻薬に手を出すほど駄目な兄を、クリスチャン・ベールが演じていて存在感抜群です。もう一人の天才肌だが家族に引っ張られがちの気の弱さを持った弟ボクサーをマーク・ウォルバーグが演じています。この映画の見どころは、ボクシングシーンなどではなく、2人を取り巻く家族模様の面白さでしょう。ものすごく勝気だが駄目な兄のかたばかり持つ母親、この強烈な個性が映画を引っぱっていると言ってもいいでしょう。そして母親の再婚相手である気の良い義父、そして何人いるか分からない、行かず後家の妹達、こいつらと弟ボクサーの恋人の喧嘩がすごい。
当然、ボクシングの試合のシーンは迫力満点です。見どころ満載のホームドラマの傑作です。
「シリアスマン」コーエン兄弟の不気味なコメディー映画の傑作です。
運がついていないユダヤ系大学教授に次々と小さな悲劇から大きな悲劇までが押し寄せてきます。この映画を見てほとんどの観客は大笑いはしませんが、あちこちからフフとか声が聞こえたような・・。忍び笑い型傑作コメディー映画と言ってもいいでしょう。
そしてラスト、忘れられないシーンで終わります。これがあったればこそ傑作足りえたと私は勝手に思いました。万人にはお勧めしません。忍び笑い型映画が好きな人限定の傑作お勧め映画です。
「愛する人」ハイスクール時代に同級生とのお遊びで妊娠した女性が、まだ若いという理由で娘を手放すところから話が始まります。十数年後、他人の手で成長した娘は、自分の生い立ちを知り早いうちに自活して優秀な弁護士になります。しかし心の中に封印していた傷によって、男との関係の持ち方が普通じゃない事が分かってきます。ここの文字通り体を張ったナオミ・ワッツの演技がすごいです。母親役のアネット・ベニングも、やはりトラウマを抱えた看護師を熱演しています。そして女の業を背負った親子の運命が交差するラストは深い感動が待っています。傑作です。女性にはもちろん、男性にも是非見てほしいお勧めの傑作人間ドラマです。
「アリス・クリードの失踪」登場人物3人だけの誘拐サスペンス映画です。
テンポよく、全編緊張感にあふれています。計算され尽くした画面構成、カット割り、伏線が小気味よく、先の展開を予測させません。
ただ一か所、あまりに間抜けなシーンがありそれさえなければ、心ぴく映画間違いなしでした。ラストも心地よく期待を裏切って良い感じでした。お勧めの傑作です。
「スカイライン‐征服‐」低予算だと信じられない宇宙人侵略物の傑作です。
この10数年間で見た現代を舞台にした侵略物の中で一番面白かったです(<第9地区>は移民宇宙人物で侵略物ではない)。侵略物の最大の欠点は、観客にカタルシスを与えなければと、制作会社が監督に要求するのか、最後に地球人が勝つところです。
だいたい、地球上の戦争一つ終わらせることのできない軍隊が、はるか宇宙の果てから地球にやってくるものすごい科学力の宇宙人に勝てるわけないじゃありませんか。
地球の細菌にやられたとか、コンピューターウイルスにやられたとか、ほとんどギャグの世界です。しかしこの映画は、米軍の命懸けの攻撃さえ通用しない宇宙人のリアルさが描かれていて、ある意味痛快でさえあります。そして続編を是非見たい作りになっているラスト。ある雑誌や一部の人々から、超駄作のレッテルが張られているようですが、私は断然この作品を傑作だと指示します、宇宙人が出てくるだけで、くだらないとレッテルを押す偽映画評論家(映画で飯を食っているんだったら、あらゆる映画に精通しておかねばならない、好き嫌いで判断するのは素人)や何にでもお涙ちょうだいがなければ許せない観客(まるで、お遊戯会をやっているような安っぽいテレビドラマのような日本映画が好きな客に多い。この手の客は、だいたいデートの一環としてたまたま映画館に来たのであるから、関心は隣の客席にあり、なるべく映画の内容は集中しなくても分かる程度の薄いものが良い)には進めませんが、映画愛にあふれた傑作侵略映画です。
映画好きには絶対にお勧めです。
「ロスト・アイズ」スペインのサイコサスペンス映画の傑作です。
大好きな<永遠の子供たち>の主演女優がおなじく主演しています。
大傑作<パンズラビリンス>のギエルモ・デル・トロ監督が、<永遠の~>と同じくプロデュースをしているので面白くないわけがありません。
目が徐々に見えなくなる病気にさいなまれた双子の姉妹の妹が主人公です。
まず、目が見えなくなった、姉が地下室で首を吊った姿で発見されます。自殺として片付けられますが、妹は納得いきません。そんな中病気を治すために、妹は角膜移植手術を受け、一週間は包帯を取れない状態になります。ここからが緊張の連続です。まさに姿なき真犯人が姿を現すのです。この場面は先端恐怖症の人は必ず目を閉じるほどの恐怖の瞬間が用意されています。そしてラストの荘厳で落ち着く描写。人間ドラマとしても一流の作品だと思います。傑作です。お勧めです。ただ、先端恐怖症の人はちょっと遠慮した方がいいかな的映画です。
いよいよ発表の心ぴく映画7本は、次回第67回心ぴく映画コーナー(下)にて発表します。

  # by mind-house | 2011-06-27 17:18

第66回心ぴく映画コーナー

第66回目の心ぴくコーナー2010年度 巻来功士的映画ベスト10です。今回見た映画は「冬の小鳥」「ふたたびswing
me again」「442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」「黒く濁る村」「デイブレイカ―」「キス&キル」「ロビン・フッド」「白いリボン」「ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ」
「エクスペリメント」「キック・アス」「ゲゲゲの女房」「デッドクリフ」「バーレスク」「シュレック フォーエバー」「スプライス」「海炭市叙景」「モンガに散る」「アンストッパブル」「ソーシャル・ネットワーク」「完全なる報復」「ハーブ&ドロシー」「フードインク」「冷たい熱帯魚」「ザ・タウン」
の25本です。
今回のしょんぼり映画5本
「ふたたびswing me again」すごく良いストーリーと主演の財津一郎の好演を、安っぽいテレビ並みの演出が見事にだいなしにしていました。私が原作者であったらすごく悔しいと思います。
そんな映画です。
「黒く濁る村」韓国映画のミステリーものです。過去に教会で起こった大量殺人事件の謎を、その教会の牧師の息子が解き明かしてゆくというストーリーです。
村の因習がまるで横溝正史の小説みたいに複雑に絡み合い、とんでもない真実が露わになるだろうと勝手に期待していた私が悪いのでしょうが、意外と小さい印象のミステリードラマでした。期待しないでどうぞ。
「バーレスク」クリスティーナ・アギレラのソウルフルな歌声だけが素晴らしい映画。ファンの方、それだけを聞きに行ってください的映画。
「完全なる報復」アメリカの司法制度の問題点を、真正面から取り上げた骨太社会派映画だと思ったら、中盤からあり得ない出来事の連発に悪い予感がし、後半それが的中して、B級アクション映画へと変貌する珍作。変な映画をネタとして楽しみたい人向き映画。
「シュレック フォーエバー」ラストにしてシリーズ1の印象薄き作品。ギャグも前二作の焼き直し感が強い映画。
今回の面白映画は10本です。
「デイブレイカ―」吸血鬼が世界を支配していて、人間が残り少なくなった為に慢性の血液不足になっているという抜群に面白い設定の映画です。
彼らは、決して死なないのですが飢えは抑えられず、仲間の吸血鬼を襲う輩も出てきます。
しかし、吸血鬼の血を吸ってしまうと、化け物のような蝙蝠人間と化してしまうのです。
だから彼らは、代用血液の開発を急いでいます。
その研究者の吸血鬼が主人公ですが、途中から人間の味方となるところが説得力を欠くものの、周りの人間模様(?)が面白く最後まで見せます。ただ吸血鬼が人間へと戻る手段が荒っぽいのが残念でした。見て損はない映画だと思います。
「白いリボン」第一次大戦終了後の、ドイツの小さな村で起こる傷害事件から物語が始まります。徐々にいやな空気に包まれてゆく村が不気味です。
終わり方を中途半端だと思う人もいるかもしれませんが、私は納得しました。そんな空気を主人公にした映画です。
「キス&キル」<ナイト・アンド・デイ>の設定とかなり似ている映画です。
ただし、こちらの方がブラックユーモアが利いていて10倍面白かったです。
「ロビン・フッド」まるで、史劇のようなリアリズム溢れるロビン・フッド映画です。
リドリー・スコット節が利いていて、グラデエーターに近い傑作になるかと期待させた面白映画です。
惜しいのは、ラスト、シャーウッドの森のロビン、フッドストーリーの顛末を足早に語って見せた件は、映画を軽い印象にさせたのではないかと思いました。そんな面白映画です。
「エクスペリメント」ドイツ映画の傑作<エス>のアメリカ版リメイクです。
アメリカ映画特有の軽さが、ドイツ版より感情移入出来なくしている印象を受けました。
研究者側の混乱を一切見せなかった事もリアリティーを失くしていたと思います。
ただオリジナルが素晴らしいので、最後まで飽きさせず、それなりの面白映画にはなっていました。
「ゲゲゲの女房」テレビ版とは違い、しっかりと映画の画面作りになっていました。
当時の貸本マンガ家の辛い状況もリアルに描かれていて良かったです。
ただ、無理に妖怪を出さなくても・・と思った面白映画です。
「スプライス」SFエロチックホラー<スピーシーズ>からバカバカしさとダイナミズムを抜き、真面目さと、人間の業を加えた作品。その分怪物の異様さは目を見張るものがあるが、ラストの爆発力のなさが惜しい映画。
「アンストッパブル」リアルな列車パニック映画。ラストまで一気に見せる演出は、監督があの(?)トニー・スコットだと思えないほど見事でした。ただ最後のあっけらかんさで印象に残らない映画にしたのは監督の面目躍如といったところでしょう。
そんな惜しい、傑作になり損ねた面白映画です。
「ザ・タウン」前評判が、かなり高かったベン・アフレック監督主演作品です。
期待しすぎたせいか、思ったほどの作品になっていませんでした。
まず、主演のアフレックの、ある意味緊張感がない身体や表情が、銀行強盗のリーダー役に向いていなかったという事です。
首の刺青のエピソードや、声のエピソードも生かされず、期待していた親友とのラストファイトもないまま、ハッピーエンド(?)では、肩透かし感満点でした。
ただ、フレンチノワールをそのままアメリカを舞台に撮影した感じが微笑ましく、それなりに面白いシーンもある映画になっていました。
傑作映画は6本です。
「442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」文字通り、最強の陸軍部隊のノンフィクションです。
人種差別の中まるで捨て駒みたいに扱われても、果敢にアメリカのため、いやアメリカにすむ日系人の家族のため命を捨てて戦った兵士達の過去から現在までを見つめた傑作です。
アメリカ人や、フランス、イタリア人から今も英雄として称えられる彼らが、80歳を超えた今でも戦争の傷に苦しんでいることが、淡々と語られていきます。
戦争の真実を直視せず、自分勝手な妄想やロボットアニメでしか戦争を語れない、今の日本人全てに見てほしい映画です。
「ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ」ジョンレノンが、ビートルズを結成する直前までの話です。
育ての母、産みの母、2人の母の間で揺れ動くジョンの気持ちが丹念に描かれていて、とても面白かったです。ポールとの友情にも胸を打たれた傑作です。
「海炭市叙景」函館を舞台に描かれた、数組の家族のオムニバスストーリーです。
造船所をリストラされた若い兄妹、都市開発地域で移転を拒む猫と暮らす老婆、プラネタリウムで働く高校生男子の父親(奥さんが深夜スナックで働いていて、心穏やかでない)
、息子を愛し、奥さんには暴力的なガス店の二代目社長、そのガス店に浄水器をセールスする東京から来たセールスマンと、電車の運転手の父親。
その人々の人間模様が丹念に描かれ、身につまされる傑作になっていました。ただ、予算の関係からか、名優が演じる中、明らかに素人が重要な役を演じていて、微笑ましくもあり、シビアに一本の映画として観た場合、首を傾げるところもありました。
それだけが惜しい、堂々たる傑作人間ドラマです。
「モンガに散る」男泣きの、台湾版<その後の仁義なき戦い>といった感じの傑作青春極道映画です。
これを見てはっきりとしたことは、現在のテレビ局が出資するメジャーな日本映画は全てのアジア映画中最低レベルであるという事実です。
そんなテレビ映画を喜べる観客向けだけに映画を作り続けていると、本当に日本の映画(テレビドラマの幼稚な映画化とアニメ意外)は消滅してしまうと思います。
そんな事を考えさせる位、熱気にあふれた青春映画の傑作でした。
ただ、主人公達が尊敬するボスが襲われる場面のアクションシーンだけ、リアリティーが薄れ、まるで香港アクションの立ち回りみたいになってしまった所は、御愛嬌というところでしょうか。
とにかく傑作青春映画です、お勧めです。
「ソーシャル・ネットワーク」デビット・フィンチャー監督作だと期待しすぎると、肩透かし感がありますが、とても面白いコメディー的要素が多分に入った人間ドラマの傑作です。
事実よりも、かなり誇張したキャラクター達の行動に目が離せず、あっという間にエンドクレジットといった印象でした。
ハーバードの学長が一番カッコ良かったです。
「フードインク」アメリカの食をテーマにした恐ろしいドキュメンタリー映画の傑作です。
過剰なホルモン摂取、遺伝子組み換え、粗悪で安い食べ物により、病気の率が白人より高いマイノリティー達、アメリカを牛耳る巨大食品多国籍企業はこの先世界をどうしようとしているのか考えるだに空恐ろしくなります。
もしもあなたがこの先、生き延びようとしているのなら是非とも観ておかなければならない映画です。
そして第66回心ぴく映画は4本です。
「冬の小鳥」これこそ映画です。全てが自然に違和感なく演出されていて、それだけで感動しました。
韓国映画の傑作です。監督は韓国系フランス人の女性で、その監督の幼いころの出来事をモデルにしている映画ということです。
父親から捨てられ孤児院に預けられる10歳前後の女の子、その子がフランスに養子に行くまでを描いた映画ですが、その孤児院の子供たちの自然な演技が素晴らしく目を見張らされました。些細なエピソードが積み重なり心の深くから感動する、これこそ傑作の証明です。この映画を見て、日本映画にも小津安二郎監督の一連の作品や<泥の川>という傑作があるのを思い出しました。
日本映画が失ってしまった、感動がここにあります。
心震わせる心ぴく映画の傑作です。
「キック・アス」去年の暮れから今年にかけて、3回も映画館に行ってしまいました。
アクション映画の超大傑作映画です。何度見てもこれだけ面白い映画はなかなかありません。笑えるシーンとハードなアクションシーンの見事な融合。これこそアメリカ娯楽映画が行き着いたある種の到達点だと思います。
映画を愛している人、全てに超お勧めです。
ただし、日本だけに存在するテレビドラマの延長みたいな映画を本当に面白いと思える人たちには絶対に進めません。なぜならこの映画は、映画を愛している人が映画を愛している人たちのために作り上げた宝物のような映画なのですから。
セリフの小気味よさ、伏線の張り方の絶妙さ、カット割りのテンポの良さ、どれをとっても超一流です。
やはり映画は監督で決まる、そういう基本的な事に気づかせてくれた超大傑作で心臓ばくばくの超心ぴく映画です。
是非是非見てください。お勧めのお勧めです。
「ハーブ&ドロシー」文化に携わる人。全てに見てほしいドキュメント映画の傑作です。
ハーブとドロシー。ニューヨークに住む郵便局員と図書館司書の、けっして豊かではないこの夫婦の唯一の趣味は、まだ世に認められていない前衛アーティストの作品の収集でした。郵便局員のハーブの給料を全部、作品の収集のために使い、ドロシーの給料で生活するという徹底した生活は、一生狭いアパート暮らしという生活をもたらしましたが、二人の表情に暗さは微塵も感じられません。
それどころか彼らは、新人アーティスト達の救世主となるのです。
とにかく彼らのアートに対する深い愛情に驚かされました。
彼らがいたからこそアメリカ前衛アートは、アメリカを代表知る文化に成りえたと思えるほどでした。
文化を守り育てる国に必要なのは、その絵の金銭的価値がどうかとかいう前に、その絵が好きかどうかを判断できる思考を多くの個人が持っている事が条件だと思います。
アートとは個人的なものなのです。人が押し付けた価値観でそのアートを評するほどバカげたことはありません。
そんな、アート、文化の本質を分からせてくれる傑作です。
今だもって、文化を金銭的価値でしか判断できない多くの日本人に観てほしい、
文化の本質を描いた大傑作心ぴく映画です。超お勧めです。
「冷たい熱帯魚」今の日本の、出口の見えない閉そく感的空気を描いた映画の一つの到達点である傑作です。
70年代の、挫折したアメリカの空気を描いた名匠マーティン・スコセッシ監督の一連の作品やアメリカン・ニューシネマの、がむしゃらなパワーを感じました。
どこにも遠慮せず、一直線に人間を描き切った、園監督のパワー溢れる大傑作です。
とにかく面白い。ウェットではなくアメリカ映画のように乾いた感覚で、ブラックな笑いも交えて真正面から地獄絵図を演出し、成功させた監督はおそらく日本映画史上初めてではないかと思います。
ラストの、救いも何もないが突き抜けた爽快感までもが漂う演出も、これまで日本映画にはなかったものだと思いました。
それだけオリジナリティーに溢れた演出、野心むき出しのストーリーは驚愕に値します。
あえて言います。全ての大人にお勧めです。本当の映画というものを見慣れてない人は恐らく戸惑うと思います。しかし奇妙な高揚感に満たされていく自分に気づくはずです。
それが面白さの本質です。
面白いという事は、個人的な事なのです。
マスコミが褒めているとか、友だちが面白いと言っているからとか、そんなものではないのです。だから自分の中の面白さを体験する、とっておきの映画だと思います。
そんな大傑作の心ぴく映画です。
おおいに笑って地獄絵図を楽しんでいる自分に恐怖してください。
これぞ大人の映画です。
今のところ、今年の私の日本映画ベスト1です。
2010年度 巻来功士的映画ベスト10               第1位「キック・アス」第66回心ぴくコーナー参考
第2位「僕のエリ 200歳の少女」第64回心ぴくコーナー(下)参考
第3位「十三人の刺客」第65回心ぴくコーナー参考
第4位「トイ・ストーリー3」第64回心ぴくコーナー(下)参考
第5位「アバター」第63回心ぴくコーナー参考
第6位「インビクタス/負けざる者たち」第63回心ぴくコーナー参考
第7位「マイレージ・マイライフ」第63回心ぴくコーナー参考
第8位「バッド・ルーテナント」第63回心ぴくコーナー参考
第9位「第9地区」第63回心ぴく映画コーナー参考
第10位「告白」第64回心ぴく映画コーナー(下)参考
「キック・アス」は、去年の12月の末に観たので加えました。
今年も良い映画と巡り合えますように。

  # by mind-house | 2011-02-11 17:51

第65回心ぴく映画コーナー

第65回目の心ぴく映画コーナーです。
今回見た映画は「ヒックとドラゴン」「バイオハザード・アフターライフ」「ミレ二アム2火と戯れる女」「ミレニアム3眠れる女と狂卓の騎士」「悪人」「トラブル・イン・ハリウッド」「コップ・アウト」「十三人の刺客」「ナイト&デイ」「エクスペンタブルズ」「クロッシング」「ストーン」「パンドラム」「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」「乱暴と待機」「ビッチ・スラップ 危険な天使たち」「遠距離恋愛 彼女の決断」「リミット」「マチェーテ」「リトル・ランボーズ」「義兄弟SECRET REUNION」の21本です。
今回のションボリ映画は4本
「バイオハザード・アフターライフ」<マトリックス><遊星からの物体X><ゾンビ>etcのパロディーだけでオリジナリティーが全然ない珍しい映画。そんな映画が好きな人どうぞ。
「悪人」おそらく原作を読んだらテーマが何か分かるのでしょう・・。
前半、犯罪の真相がわかるまでが面白い映画。
その後は、脚本が・・・。最後の主人公の行動はおそらく原作を読んでいる人だけに分かるのだと思います。俳優一流、カメラ一流、原作(読んでないので分かりませんが恐らく一流なのでしょう)一流、音楽(ジブリ作品?)・・。演出、脚本、致命的(この映画を褒めている映画評論家と称する皆さんを私は信じません)。まるで煌びやかな見てくれで、中身の空っぽさを誤魔化しているようでした。ずばり業界先行の、映画愛が感じられない私が一番嫌いなタイプの映画でした。原作の良いとこだけ繋ぎ合わせても良い映画にはならない。そういう映画作りの真理に気付かせてくれる映画でした。
「ナイト&デイ」アクションコメディーなのにアクションにハラハラしない、コメディーシーンで笑えない変な映画でした。西部劇の傑作<3時10分決断の時>のマンゴールド監督だっただけに正直、落胆は大きかったです。次回作に期待します。
「乱暴と待機」大好きな映画<腑抜け度も哀しみの愛を見せろ>と同じ原作者の戯曲の映画化だという事で見に行きました。監督が違えばこんなに違うものかと驚きました。<腑抜け~>は見事に映画になっていたのに、この映画は戯曲のまま、俳優が舞台の演技のまま演じているのです。これは映画館のスクリーンで演劇を見たい人限定の映画です。
私は映画を見に行ったので、まったくの場違いでした。

今回の面白映画は9本です。
「ミレニアム2火と戯れる女」<ミレ二アム ドラドンタトゥーの女>と比べると完成度は落ちるが、リスベットの過去の生立ちの興味で、最後まで見る事が出来ました。とんでもない父親と兄貴の描写はなかなかでした。
「ミレニアム3眠れる女と狂卓の騎士」前半で大きな決着がついてしまうので、後半の裁判シーンはあまりハラハラしませんでした。ただこの物語を最後まで描いてくれたことに感謝して面白映画に入れました。
「トラブル・イン・ハリウッド」ロバート・デ・ニーロがハリウッドのプロデューサーに扮し、ショーン・ペンとブルース・ウイリスが本人役で出演している楽しい映画。監督が重い題材も軽く撮る名手(?)バリー・レビンソン監督だけに可もなく不可もない映画になってしまったのが残念でした。
でも、俳優さん達が楽しそうに演じていたので面白映画に入れました。
「コップ・アウト」ブルース・ウイリス主演のアクションコメディー。
黒人刑事との掛け合いが面白く、アクションに手を抜いていないところが良かったです。
軽業師みたいな強盗がなかなか笑えたし、ブラックな笑いが心地いい映画でした。
「クロッシング」ものすごく惜しい私好みの作品。警官3人の身につまされる境遇にグッときました。
話が進むにつれ大傑作の予感がしましたが、ラスト見事に裏切られました。
{ここからは、ネタばれになります。映画鑑賞後に読んでください}
題名のクロッシングがなかったのです。3人の運命が交差しないで終わってしまいました。
な、なんだったのでしょう?
残念です。もう一息で大傑作になったのに・・。
ただラスト近くまでの緊迫感は流石傑作<トレーニング・デイ>の監督だけはあります。
次回作に大期待です。
「ストーン」またまたロバート・デ・ニーロ主演映画です。
脇をエドワード・ノートンとミラ・ジョボビッチが固めています。
保釈に権限を持つ刑務所の心理カウンセラーと、囚人とその妻の話で、どうしようもなく、だめでいやな(精神的に歪んでいる)心理カウンセラーをデ・ニーロが熱っぽく演じています。
これまでスコセッシ作品で演じてきた人物像をなぞっているようで新鮮味はないですが、囚人役のエドワード・ノートンとの対比でなかなか見せる作品に仕上がっていると思いました。たえず聖書の一節が流れる画面は、好き嫌いが分かれると思いました。
私としては、もう少し減らした方が効果的だったと思いますが、雰囲気は悪くなかったと思います。
「マチェーテ」大期待していた映画でした。
R‐18。超個性派ダニー・トレホ主演、敵役に(またまた出ました)ロバート・デ・ニーロ、スティーブン・セガールetc、監督に快作<プラネット・オブ・テラー>のロバート・ロドリゲス。これで期待しない方がどうかしているでしょう。
しかし、見事に裏切られました。
グラインドハウス的B級パロディー映画にしたいのか、過激なアクション映画にしたいのかどっちつかずの印象なのです。だから出だしは快調で、徐々に失速していきラストはグダグダな印象で終わります。
大戦闘シーンが、いい大人が映画ごっこをしている印象で終わるのです。
どうした、ロドリゲス監督。
でもよく考えると、ロドリゲス監督の作品はこんなお遊び感覚のものばかりでした。
それがたまたま成功したのが<プラネット・オブ・テラー>でその他は、大体同じレベルの物でした。期待した私が間違っていたのでしょう。
でも、次回作に期待してしまう、おかしな魅力がある監督には間違いありません。
所々ある、切れがいいアクションシーンと次回作への期待を込めて、面白映画に昇格したそんな映画です。興味がある人どうぞ。
「リトル・ランボーズ」これも期待していた映画です。
新興宗教を信仰する家族の下で、テレビさえ禁じられた生活を送る夢見がちな少年と、遊び好きの母親が不在で、横暴な兄と暮らし過激ないたずら小僧になってしまった少年の友情物語です。たまたま映画<ランボー>を見たことから二人で映画を撮ろうとします。
深い感動を期待させる設定です。{ここからはネタばれなので、見ようと思っている人は読まないでください}
しかし残念なことに、軽いハッピーエンドで終わってしまうのです。
少年が主演の映画なので、少年映画らしいハッピーエンドなのは良いのかもしれませんが、
大人の私は別にみる必要はないと思いました。
ただ前半の展開は大人の鑑賞に堪えるものだったので、面白映画に入れました。
「義兄弟SECRET REUNION」あり得ない展開なのに、アクションの力技と迫真の演技で最後まで飽きさせません。
やはりソン・ガンホはすごい。超一流の役者だと再認識させられました。
カーアクション、ガンアクションのリアルな演出はアメリカ映画に引けを取りません。
数台のカメラを回して、カット割りも流れるようで完璧です。
しかし、私好みじゃないラストが・・・。
{ここからは、ネタばれになります}
やはり、リアルなアクション演出に、あのラストは似合わないと思うのですがどうでしょう?
韓国映画は変わりつつあるのでしょうか?南北問題を描いて、あれほどあっけらかんとしたハッピーエンドを見た事がありません。
重い現実を忘れたくなるのは分かる気もしますが、やはり違和感がありました。
できれば、もう少し余韻を残すようなラストが良かったのですが・・。
ただ見て損はない、娯楽活劇に仕上がっています。お勧めです。
次は傑作映画3本です。
「遠距離恋愛 彼女の決断」軽いノリで付き合い始めたカップルが、しだいにお互いなくてはならない存在になりますが、それぞれの夢のために、遠距離恋愛をしなければならなくなり、気持ちの擦れ違いが生まれてくる。そんな二人を時にはリアルに、時には過激なギャグを交えて描いてゆきます。
男の側から、女の側から、公平に描いているので、私もどっぷりと物語に感情移入して、とても面白かったです。
同様に女性の側からもしっかり楽しめる稀有な恋愛コメディーといっていいでしょう。
ご夫婦、恋人同士、恋人がいない男女にお勧めです。
付き合い始めたばかりのカップルには刺激が強すぎるかもしれません。
しかし傑作には間違いありません。是非見てください。
「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」傑作<ヌードの夜>の17年ぶりの続編です。
石井隆節全開でとても楽しめました。役者は全て良く、特に主演の竹中直人のハマり役といっていいほどの演技には感動さえ覚えます。
陰惨な物語なのにラストに救いがあるのは、石井隆作品には珍しく新鮮な驚きでほっとさせられました。
そのなかに前作の<ヌードの夜>と同様の切なさもしっかり描きだされていて傑作になっていると思います。
ただ少し気になったところは、クライマックスの大空間が広がる場面設定に違和感があった事でした。普通の森の中でよかったと思いますがどうでしょうか?
しかし私にとっては紛れもない傑作です。
特に日活ロマンポルノファンには超お勧めの傑作です。
「ビッチ・スラッブ 危険な天使達」低予算アクション映画です。70年代のビッチ系映画(巨乳の女優が活躍するC級エロアクション映画)のパロディーです。
しかし、パロディーシーンをしっかり押さえながら、アクションシーンはA級ド迫力で息を飲みます。
女優の命懸けのバトルシーンはこの映画のすべてのマイナス面を打ち消す素晴らしさを持っています。非常に珍しいパワーあふれる映画です。
アクション映画好きには是非お勧めの映画です。
女優のカッコよさにシビレマスヨ。<マチェーテ>のロドリゲス監督に、この監督の爪の垢を煎じて飲んでもらいたい。切にそう願った傑作アクション映画です。
いよいよ第65回心ぴく映画5本の発表です
「リミット」思わぬ拾い物の心ぴく傑作映画です。
登場人物はほとんど一人、棺桶のような箱に閉じ込められたその中だけで話は進んでいきます。
しかしただのサバイバルホラーではありません。箱の中に置かれた携帯電話で主人公の立場がじょじょに分かり始めると、とてつもなく広い背景が見えてくるのです。
後半からラスト、切実な社会派ドラマとして決着する展開には目を見張りました。
傑作です。見終わってから深く考えさせられます。
是非この感覚を味わって、まったく新しい映画の楽しみ方に目覚める人が多く生まれることを期待します。
新しい映画体験をしたい人には是非お勧めの心ぴく映画です。
「パンドラム」正統派SF映画です。
ファーストシーンから、ラストシーンまでSFマインドに溢れていて嬉しくなりました。
主人公はいきなり宇宙船の中で目覚めます。宇宙では記憶障害が起こりやすいらしく、自分は誰なのかここはどこなのか分かりません。そして宇宙船の中には、人間に似て非なる凶暴な生物が・・。この設定だけでSF好きにはコタエラレマセン。
何万光年も旅する宇宙船の目的と、それ故起こる宇宙船の異常事態が、絶望感と共に増幅されていくストーリーは手に汗握ります。
SF好きには、絶対お勧めの心ぴく傑作映画です。是非見てください。
「ヒックとドラゴン」3Dアニメ映画です。
ドラゴンと死闘を続けるバイキングの一族と、一族のおきてを破りドラゴンと友達になる少年の物語です。
とにかくドラゴンと少年の飛行シーンが素晴らしい。
これぞ3Dの正しい利用法と言わんばかりの感動的シーンに目頭が熱くなりました。
飛行シーンで泣けた映画は初めてです。
話も素晴らしく、バイキングの中でも体が小さな少年と、翼が傷つきうまく飛べなくなったドラゴンが友情をはぐくむシーンは丹念に描かれ唸らされます。
そしてクライマックスの大怪獣バトル。怪獣世代の私にはこたえられない展開でした。
そして胸に刺さるラストシーン。
これは単純な子供向きの映画ではありません。
しかし子供映画の形を借りているからこそあのシーンが胸に刺さるのでしょう。
戦いとは何か?そしてその代償とは・・。重く普遍的なテーマをも突きつけてくるのです。
心臓がぴくぴくした傑作映画です。できれば3Dで見てほしい、超お勧め映画です。
「十三人の刺客」ついに出た、日本映画の傑作です。
とにかく燃えます。
冷酷非道な将軍の弟を暗殺する使命を帯びた十三人の侍の死闘。
その将軍の弟の冷酷非情さは丹念に描かれ、残虐シーンを見慣れていない人は胸が悪くなる人もいるでしょう。
しかしそれを描いているからこそ、十三人対二百人の死闘に胸が躍るのです。
<斬って斬って斬りまくれ>と叫ぶ役所広司のセリフが本当に心臓をぴくぴくさせました。
こんなに素晴らしい日本製アクション映画を観たのは何十年ぶりでしょう。
大袈裟ではなく日本映画に一筋の光を見た思いがしました。
願わくば、この光が最後の花火にならない事を信じたいのですが。
次回作(忍たま乱太郎を除く)に大期待しています三池監督。
これだけのビックバジェットの映画を撮れるのはあなただけです。
超お勧めの傑作心ぴく映画です。
「エクスペンタブルズ」これも燃えまくりの心ぴく映画です。
スタローン監督のアクション演出は、前作の傑作<ランボー最後の戦場>で一皮も二皮も剥けた感じがします。
リアルなアクション演出がとても素晴らしく息もつかせぬ迫力です。
カット割りが速すぎ、見づらいという声も聞きますが、アクション映画を見続ければ、その速さに慣れて心地よく(?)なるはずです。
テレビドラマの延長のような、温い映画ばかり見ているとついて行けなくなるだけの話です。
しかし、全世界で大ヒットしたこの映画が日本だけ中ヒットとはどういうことでしょうか。
手軽にストレスを解消できるこんな傑作アクション映画を見に行かずに、男の子達はどこでストレスを解消させているのでしょうか?
ゲームでしょうか?しかしそれも利用者が減っていると聞きます。
男女は性差があって当然なのです。だから物の見方感じ方が違うのです。
だから当然、男と女の好む映画はちがって当たり前なのです。
しかし我が国の業界の考え方は特殊で、客が入らないからと男性向きの映画は99%作らない傾向があるようです。
小説もしかり(誰もが知っている流行ミステリー作家が編集者に女性向きの作品を作らないと売れませんと、いわれたから、そういう方向で描いているとインタビューに答えていました)。そして漫画も・・・(?)。
だから、カップルで映画を見る時など仕方なく男性も女性向きに作られた映画を見るしかないのです。そして彼女の気分を害さないように女性向け映画を面白いと言い続けなければならないのです。本当は違和感があるのに・・・。
これを続けると確実に映画を見続けるのが苦痛になります。
女性向け映画を見つづけるのが苦痛なだけなのに、男性映画を見る習慣がないものだから、映画自体が嫌いになってしまうのです。
結果、ますます男性の映画ファンは減り、映画を見に行くのは女性ばかりという非常に平衡感覚が失われた、いびつな日本映画界が出来上がるのです。
だから、男性も是非映画館に行きましょう。一人でもさみしくありません。
だいたい男性映画を見る客は一人で来ている人が多いので、かっこ悪くなどありません。
是非映画館に足を運んでください。
それには、ちょうど良い映画はこれです。スカッとしますよ。
もちろん男性だけではありません。
カッコいい女性にも是非見てほしい、肉食系全員集合の大傑作心ぴくアクション映画です。

  # by mind-house | 2010-11-13 00:33

第64回心ぴく映画コーナー(下)

第64回心ぴく映画コーナー(下)です。
次は傑作映画11本です。
「ジョニー・マッド・ドッグ」
アフリカの少年兵の実態がリアルに伝わってくる傑作です。
親元から誘拐され、完璧な殺人マシーンと化した少年たちを、実際に元少年兵だった若者が演じていて緊張感は半端じゃありません。その辺のホラー映画よりも恐ろしい現実が描かれています。そして戦争が終われば武器を奪われ何のケアもなく放り出される少年達・・。
大人達のエゴの犠牲者がどうやって生み出されるかしっかりと描かれています。戦争は妄想やヒロイズムではけっして語れるものではありません。つらい真実を直視しなければ同じ過ちを犯す確率は飛躍的にアップします。
ところで近頃とても悲しいドラマを見ました。
とても好きな脚本家の作品だったのですが、第2次世界大戦で戦った日本兵を、被害者の立場だけでしか描いていないのです。そして今の日本が、戦後どこかで間違った結果こんな駄目な国になったと言い切るのです。それではまるで軍国主義のあの時代の狂った日本が今の日本よりも良いという事になってしまいます。
国民を暴力の恐怖やマスコミを使った巧みなプロパガンダで従わせ、負けると分かっていた戦争に特攻や回天などで、まるで人間を兵器のように使い捨てにしたあの地獄のような時代が良い時代なのでしょうか?
こんな脚本を75歳である、名脚本家が書いては駄目だと思います。
本当に極限状態で死んでいった兵隊たちの気持ち(傑作ドキュメント<蟻の兵隊>を見てください。<硫黄島からの手紙>を見てください<野火>をみてください。水木しげる先生の自伝を読んでください。)や、ころされた民間人、そしてのうのうと生き残りこの国のトップに居残り続けた旧日本軍の上官たち(海軍、軍令部を扱ったNHKの傑作ドキュメンタリーを見てください)、その人々ことを真摯に想像して脚本を書いてください。
今の日本の風潮はけしからん、というような酒場で管を巻くおじさんの気持ちで簡単に戦争を登場させたにすぎない印象のドラマは見たくはありません。
未来戦争アニメーションだけで結構です。
しかしドラマの中で、怒って自分の甥を刺し殺す日本兵が登場するのですが・・。
いくら親不孝な甥といえども、この日本兵の妹である母親は果たして自分が一人で苦労して育てた息子を、自分の実の兄に殺されて喜ぶでしょうか?脚本が破綻しているのではないでしょうか?
次はもう少し考えた脚本のドラマを期待しています。
長年のファンなので切にお願いします。
そんなドラマの事まで考えてしまう、しっかりしたリアルな戦争映画です。
戦争をヒロイズムや妄想でかたずけないためにもぜひ見てほしい一本です。
「プレシャス」
アメリカの低所得者層の、ある少女の現実を描いています。
実話です。
主人公のプレシャスが、リアルでとても良いです。
過酷な運命を乾いたタッチで描いていてそれが逆に、後半の主人公の力強さを際立たせる効果を出しています。本当はまるで事態は好転していないのですが・・。
しかし、脇役が全て良いです。マライヤ・キャリーなどすっぴんで素晴らしい演技を披露しています。とくに良いのは、プレシャスのどうしようもない母親です。
女の弱さと、ずるさを巧みに表現しています。
お勧めの良作です。
「運命のボタン」
トワイライトゾーンのワンエピソードのような映画です。
SF短編が大好きな私はとても楽しめました。
男と女の行動の違いが、ここまでの悲劇を招いてしまう。これは是非とも恋人同士か、夫婦で見てください。そして後で軽くこの映画の意見を述べ合うと楽しいですよ。
ただしあくまで軽くです。深くやれば責任を負いかねます。
そんなお勧め映画です。
「ヒーローショー」
井筒和幸監督作です。腹を据えて、現代社会に生きる若者の不安定な精神状態をリアルに映し出しています。
些細なことから破滅してゆく、普通の若者たちの行動を丹念に描き見事です。
ラストの主人公の両親が汗水たらして焼いているタイ焼きの描写が、とても痛くて現代の日本そのものを描きだしています。傑作だと思います。
ただ少しひっかかったのは、全編リアルなのに、なんでも屋のおっさんだけが少し違和感がありました。本当にああいう人がいるのでしょうか?
井筒監督に会う機会があったらぜひ聞いてみたいものです。
お勧めの傑作映画です。
「BOX 袴田事件 命とは」
実話の映画化です。
明らかな冤罪で収監され続けている死刑囚の話です。
日本の司法の不備が詳しく描かれています。
この映画を見れば、誰でも死刑囚にされてしまうという恐怖を実感できます。
日本の司法や警察が、国連の人権委員会から色々な是正の勧告を受けていると聞きます。
この映画を見れば非常にうなずけます。今の日本の恐ろしい部分に光を当てた傑作です。
是非ご覧ください。必見です。
「ザ・ホード 死霊の大群」
極悪非道なギャング団VS野獣刑事達VSゾンビの大群という凄絶フレンチアクション映画です。思いきりのいいアクション演出が素晴らしい。
誰が生き残るのかさっぱりわからないところが、ロメロ監督の傑作<ゾンビ>を彷彿とさせます。ラストまで続く緊張感も素晴らしく、ラストのドライすぎる演出も私好みでした。ゾンビ映画ファンだけでなく、アクション映画ファンに是非見てほしい傑作です。
「ザ・ロード」
文明が崩壊した後の世界を、希望を求め旅する父子の姿を、まるでドキュメントのように淡々と描いていきます。
食糧がなくなり、おそらく気候変動で作物も育たなくなったのでしょう。ある者は餓死し、またある者は、人肉食に走ります。
その鬼畜達から逃げる描写がとても怖い。そして絶対人肉を食べないと息子に誓った父親は徐々に体調を崩してゆく。信念を息子に語る父親が胸に迫ります。
そして感動のラスト。
目頭が熱くなりました。全編青みがかった画面で無駄な効果音がない静かな印象の傑作です。しかしそこからの<人間という生物にとって生きるという事とは?>というメッセージは強烈に心を打ちます。
お勧めです。
「シスタースマイル ドミニクの歌」
デンマークの尼僧が、1960年代に世界一売り上げたレコード、<ドミニクの歌>を歌った実話を映画化しています。
家族にトラウマを抱えた、主人公が衝動的に教会の門をたたき、歌に救いを求め、あらゆる人に好意を持って受け入れられる前半は、まるでアメリカンドリームを掴むみたいに爽快です。しかしこれは悲しいかな実話です。そうは簡単にはいきません。
後半からの、教会の無慈悲な仕打ち、次第に追い詰められてゆく主人公。
それを丹念に描き、心に訴える人間ドラマにすることに成功しています。
それにしても、西欧社会における教会の圧倒的な影響力に改めて驚嘆を覚えました。
傑作です。ぜひ見てください。
「闇の列車、光の旅」
中米、ホンジュラス、グアテマラ、メキシコ、そして移民大国アメリカの現実を浮き彫りにした傑作です。
上記の国で一番貧しい国、ホンジュラスの農民一家が、アメリカでの豊かな生活を夢見て貨物列車の上に乗り、他の移民たちと命懸けの旅に出ます。
その貧しい移民から金品を盗もうとするグアテマラのギャング達、その若いギャングが、ホンジュラスの農民の娘を助けるために、仲間のギャングを殺したところから、物語は加速していきます。弱いものがさらに弱い者をいじめる現実と、皆で団結し希望に向かう農民一家の情の深さが感動的です。そして追ってくるギャング達の団結力の強さが、緊張感に拍車をかけます。面白いです。
ラストのあっけなさは、好みが分かれるでしょうが、私は良いと思います。
経済的に破綻した国家がどうなるのか。そんなことも考えさせてくれる傑作です。
お勧めです。
「フェアウェルさらば、哀しみのスパイ」
これも実話の映画化です。
ソ連崩壊の数年前、そのきっかけを作ったと言われるアメリカに情報を流したロシア人将校の真実を描いています。
国を憂うために、ソ連政府を崩壊させようと命懸けでアメリカ、フランス、イギリスに情報を渡す主人公。しかし西側諸国の上層部は彼をパワーゲームのコマとしか見ていない現実。それが胸に刺さるラストにつながっていきます。
親子の情、人間の情を国家という怪物が利用し食い潰してゆく様が実によく描かれていて戦慄させられます。傑作です。是非見てください。
「キャタピラー」
倉本聡脚本のドラマ<歸国>とは正反対の反戦映画です。
単純な話です。中国戦線から戻った夫は、両手両足を失った軍神様として帰ってきます。それから妻と二人の生活が始まります。その生活を綴った映画ですが、昔の若松監督のピンク映画を見た者にとっては少々物足りなく感じました。もっとドロドロの情交シーンを入れた方がよりテーマが重く浮かび上がらせたと思うのですが・・。
ただ戦争の本質を描き切っていて近頃の似非反戦映画とは比べ物にならない迫力がありました。低予算丸出しの映画で、今はやりの分かりやすい感動シーンなどありません。
戦争に妄想のヒロイズムを求める人は怒るかもしれません。
しかし、これが戦争なのです。是非今見ておかなければいけない映画だと思います。
そしていよいよ心ぴく映画4本の発表です。
「告白」
現時点で、私の本年度日本映画のベスト1です。
原作の非現実感を、トリッキーな映像で描き、逆にリアリズム溢れる日本の現状を浮かび上がらせるという手法には驚かされました。ズバリ面白かったです。
これほど計算し尽くされた映画を撮れる監督は、黒澤明監督以来ではないでしょうか。
エンターティメント犯罪映画の傑作とあえて呼びたいです。
中島哲也監督にはこれから撮りたいものを撮ってもらいたいと思います。
是非ともテレビ局や大手映画会社の意向に沿うようなものを撮って、その天才監督の才能を壊さないでもらいたいと思います。
低予算でもいいじゃありませんか。絶対に観客が、世界が支持してくれると確信しています。
それほど凄い作品です。
是非見てください。
「僕のエリ 200歳の少女」
スウェーデン映画の傑作です。ヴァンパイアの少女といじめられっ子の少年の純愛。
そして起こる血みどろの惨劇。2つの出来事のコントラストが美しい雪景色を背景に凄絶な美しさで描かれています。
少女に使える男の深い人間的感情が、ラスト主人公の少年に重なるところなど身震いするほどの映画的感動です。
これほどすごいホラー映画はこの数年なかったように思います。
是非見てください。
絶対に損はしない、大傑作ホラー映画です。
すでにハリウッドが有名俳優でリメイクを始めているようですが、絶対にこの情感は表現できないと思います。それほどの傑作です。
「トイ・ストーリー3」
ラスト、号泣を必死でこらえました。
<トイ・ストーリー1>に勝るとも劣らない傑作でした。(私の中で<トイ・ストーリー2>はなかったことになっています。)
私のように幼いころ、GIジョー人形で遊んでいた者にとっては身につまされる展開の連続で、息つく暇もないほどでした。
登場するオモチャ達の個性が全て完璧に語られていて、決して子供向けではありません。
恨み、哀しみ、喜び、そして無常観までも・・。
ここまでしっかり人生観まで語られている映画は、お子様映画の範疇を軽く飛び越え、深く人間を描いた名作映画の領域に踏み込んでいると思います。
奇蹟のCGアニメーションといっていいでしょう。
超特大傑作映画です是非見てください。
私は、DVDがでたらすぐに購入し、自宅で号泣しようと思っています。
皆さんは、映画館で号泣してください。
超お勧めの傑作映画です。
「インセプション」
クリストファー・ノーラン監督のSF映画の傑作です。
夢のアイデアを夢の中に入って盗む、という約束事を初めに受け入れなくてはなりません。
SF映画でもSF小説でもこういう御約束だらけです。
それに入っていけなければ面白くも何ともありません。
そういう意味でこの映画は、SF好きのSFによるSF愛好者だけに送る映画といってもいいでしょう。
そういう意味でSF好きの私にとっては涎が出まくる映画でした。
夢の中で夢を見てそれぞれの夢の時間の流れが違うなど、スターウォーズがはやって正当なSF映画が消えうせた今となっては、よくぞやってくれたと心の中で拍手しました。
これは、おそらく<ダークナイト>の大成功のご褒美として、映画会社が何も言わずに資金を提供してくれたから作ることが出来た映画なのでしょう。
そういう意味で奇蹟的に作られた、奇蹟の映画だと言っていいかと思います。
大好きな映画です。
SFに入っていく良い入門書の役割も果たしていると思います。
だからSF好きじゃない人も是非見てください。
分からないという面白さもなかなか良いものですよ。
お勧めの傑作映画です。
というわけで、次回の<心ぴく>からは、もう少し早めにアップしようと思っています。
よろしくお願いします。

  # by mind-house | 2010-09-04 18:01

第64回心ぴく映画コーナー(上)

第64回目の心ぴくコーナー(上)です。
この4ヶ月間に見た映画は「シャッターアイランド」「ジョニー・マッド・ドッグ」「グリーン・ゾーン」「アイアンマン2」「プレシャス」「処刑人Ⅱ」「運命のボタン」「ハロウィンⅡ」「エルム街の悪夢」「レギオン」「アウトレイジ」「鉄男 THE BULLET MAN」
「ヒーローショー」「告白」「BOX 袴田事件 命とは」「ハングオーバー!」「プレデターズ」「ザ・コ―ヴ」「ザ・ホード 死霊の大群」「僕のエリ 200歳の少女」「ザ・ロード」「レポゼッション・メン」「シスタースマイル ドミニクの歌」「エアベンダー」「ゾンビランド」「必死剣 鳥刺し」「トイ・ストーリー3」「ワイルドハート」「闇の列車、光の旅」「インセプション」「フェアウェルさらば、哀しみのスパイ」「ジェニファーズ・ボディー」「ソルト」「瞳の中の秘密」「キャタピラー」「ヤギと男と男と壁と」「ベスト・キッド」「特攻野郎Aチーム」
の38本です。
まずしょんぼり映画13本から・・
「シャッターアイランド」
大好きなマーティン・スコセッシ監督の映画ですが、最初からオチが見え見えの複線をはっていたので、意外性がゼロに・・。次回作に期待しています。
「グリーン・ゾーン」
リアルなイラク戦争物かと思ったら、主演のマット・デイモンが不死身のヒーローみたいになっていて、全然ハラハラもせず。
問題作か、エンターティメントなのかどっちつかずの作品。
「アイアンマン2」
1は最後の戦い方が面白くなかったが、2は全体的に・・・。1人の敵を2人で倒すなよ
的映画。
「エルム街の悪夢」
オリジナル版も好みじゃなかったが、やっぱりこれも・・・。
どうしたら、フレディーが現実社会に出てこられるのかさっぱり分かりません。
「レギオン」
天使がゾンビを連れて、仲間割れして、殺されて、都合良く復活して、訳がわからなくなるが、深く考えるなと、言っているような映画でした。
「アウトレイジ」
北野映画の見どころである暴力描写が淡泊で、まるで出来の悪いⅤシネを見ているようでした。口直しに名作<仁義なき戦い>シリーズ全巻見直しました。やっぱり深作欣二監督は天才でした。それを再認識させてくれた映画でした。
「エアベンダー」
シャラマン監督が、おそらく自分の子供たちのために作った映画でしょう。
大人の鑑賞にはとても耐えられるものではないと思うのですが・・・。
「必死剣 鳥刺し」
本当に時代劇ファンが感動しているのでしょうか?
原作の主人公像を変えた時点で、微妙にずれていったストーリーが、最後に取り返しがつかなくなったそんな印象の映画でした。
それに比べ、山田洋二監督の、<隠し剣鬼の爪>の面白かったこと・・。この違いは
ラストのトンでも剣の出し方の違いだけではなく、根本的な監督の資質によるものではと、
身も蓋もないことを考えてしまう、そんな映画でした。
「ソルト」
明らかに脚本が失敗していると思います。アンジェリーナ・ジョリーの行動がチグハグし過ぎで、せっかく頑張っているアクションにメリハリがなく、過激な展開なのに退屈でした。ラストもひどい。大好きなアンジェリーナ・ジョリーが変な監督に潰されないことを祈るだけです。そんな気分になった作品です。
「ザ・コ―ヴ」まるで冒険映画みたいなドキュメンタリー(?)映画。未開の蛮族がすごくかわいいイルカという生物を虐殺しているので、正義の人々が助けに向かうという。ただそれだけの話にそって映像が繋ぎあわされているだけにすぎない。ドキュメンタリーに不可欠な深みも何もない。現地の漁師の意見など全くとりあげず、イルカを助ける意見を話しただけでその漁村では殺されるというような事まで登場人物に言わせている。血だらけで瀕死のイルカと、まるでジャパニーズマフィア(やくざ)みたいに描かれた悪役漁師と、主役の正義の白人が最後まで立ち位置が変わらない、大通俗見世物映画。話しのネタにどうぞ的映画でした。
「ヤギと男と男と壁と」
本当に存在したと言われているアメリカ超能力部隊を描いています。
どこまでが本当か分かりません。その残党がイラク戦争で活躍(?)します。
最後はまるでベトナム戦争時代のヒッピー映画みたいに温くグダグダな終わり方です。
もの好きな方見てください。
「ベスト・キッド」
リメイクです。80年代の原作映画とストーリーは同じです。舞台がアメリカから中国に変わったのと、主人公の師匠が日本人からジャッキー・チェンに変わったぐらいです。原作映画を見ていた私にとっては何の新鮮味もない映画でした。
ハードな格闘技描写が嫌いな人・原作映画を見ていない人にお勧めの映画です。
「特攻野郎Aチーム」出だしは快調で、これは拾いものになるかもしれないと思いましたが、中盤以降どんなに激しいアクションシーンにもハラハラしなくなり、ラストの派手なCGスペクタクルシーンでは眠くなりました。
原作テレビシリーズファンかハードなアクションシーンが苦手な人にお勧めの映画です。
次は面白映画10本です。
「ハロウィンⅡ」
情け容赦ないロブ・ゾンビ監督版殺人鬼映画。Ⅰよりも多少散漫になった感じ。
ただ母と自分の幼少期の幻が殺人鬼マイク・マイヤーズの前に頻繁に現れる描写は成功していると思いました。リアルな、めった刺しシーンが多々あり、とってもいやーな気分になりたい人にお勧めの映画です。
「鉄男Ⅱ THE BULLET MAN」
いかにも低予算で作った的映画。所々いいシーンがあり効果音が爆音気味で、とんでもないラストに連れて行ってくれるのかと思ったら、意外と愛の力が勝ったりする。少し物足りなかったが、映画館を出たら、ビルの工事現場の音が静かに聞こえるという、面白い体験をさせてもらったことが新鮮な感じの映画でした。
「ハングオーバー!」
単純に楽しいコメディー映画でした。見て損はないと思います。
「プレデターズ」
単純に楽しいアクション映画でした。もしかしたらプレデターシリーズの中で一番面白いかもしれません。やはり私のお気に入りの監督(アーマード 武装地帯)が撮っているからでしょうか?最後まで飽きさせないアクション演出は見事です。
次回作に大期待の監督作品でした。
「レポゼッション・メン」
情け容赦ない臓器取立人を描いた近未来映画です。ブラックユーモア演出が私好みでとても楽しめました。ただラストがあれだとチヨット・・。もう少し捻りのきいたほろ苦い感じが良かったんじゃないかと思います。あれじゃ身の蓋もないもんね的映画でした。
ラストを除けば、お勧めの映画です。
「ゾンビランド」
惜しい。<ショーン・オブ・ザ・デッド>と並ぶものを期待しただけに、少し残念でした。
始まりはとても面白く、詐欺師の姉妹に童貞君とマッチョマンが騙される下りまではとても面白かったのですが、ラストに行くにつれて毒が薄まっていく感じが残念でした。
多少温かい感じを狙ったのでしょうが、なにもゾンビ映画でやらなくても・・。
しかし楽しめた映画には間違いありません。ゾンビ映画初心者にお勧めの映画です。
「ワイルドハート」
大好きな俳優、ジェフ・ブリッジスがやっとアカデミー主演男優賞を取った記念すべき映画です。アカデミー男優賞の通説通り、やはりアルコール中毒者役での受賞です。
それなら傑作<800万の死にざま>のマット・スカダ―役が凌いでいたと思うのですが・・・・。
とにかくやさしい映画に仕上がっています。乾いたアメリカの匂いを感じたい人にはお勧めの映画です。
「ジェニファーズ・ボディー」
これも、私好みのブラックな笑いを含んだ、ホラー映画です。
ハイティーンの女の子の心情に沿って、展開してゆくストーリーは、流石、ジュノで妊娠したティーンエイジャーの女の子の心象風景を丁寧に描いた、女性脚本家が書いただけの事はあり、まったく飽きさせませんでした。
少しずれた笑いの好きな人にもお勧めの映画です。
「処刑人Ⅱ」
無茶苦茶な印象のアクション映画です。
ただ、処刑人に協力する女捜査官が殺人現場を推理するシーンがとても面白く、最後まで見る事が出来ました。オフビートなアクション映画が好きな人にお勧めの映画です。
「瞳の中の秘密」
純愛、サイコサスペンス、色々な要素を入れた結果、無駄なセリフが多い印象を受けました。前半のストーリー進行は冗漫で眠気を誘いますが、ラストの情感あふれるどんでん返しが良く、面白映画になりました。しかし、頻繁に過去の場面が映し出されたり、頭の中で推理した場面が映し出されて、観客を迷わせたりする手法は、まるでテレビドラマのようで、安っぽく感じました。
アカデミー賞外国語賞をとって、日本の評論家に褒めている人が多いようですが、興味がある人は、睡眠をよくとってからご覧ください。
次回第64回心ぴく映画コーナー(下)につづく。

  # by mind-house | 2010-09-04 17:43

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