第67回心ぴく映画コーナー
第67回心ぴく映画コーナー(上)です。
この4ヶ月間に観た映画はた、「再生の朝に‐ある裁判官の選択‐」「幸せの始まりは」「男ちの挽歌」「ヒアアフター」「英国王のスピーチ」「ザ・ファイター」「愛する人」「SOMEWHERE」「悪魔を見た」「アメイジング・グレイス」「シリアスマン」「エンジェル ウォーズ」「トゥルー・グリット」「ブルーバレンタイン」「キラー・インサイド・ミー」「アンチクライスト」「生き残るための3つの取引」「塔の上のラプンツェル」「ブラック・スワン」「アウェイク」「ショージとタカオ」「ファースター怒りの銃弾」「アジャストメント」「Xメン‐ファースト・ジェネレーション」「アリス・クリードの失踪」「スカイライン‐征服‐」「ロスト・アイズ」「127時間」「ドリーム・ホーム」「ビューティフル」の30本です。
今回のしょんぼり映画は5本です。
「悪魔を見た」『オールドボーイ』のチェ・ミンシクとイ・ビョンホン共演のサイコサスペンスなので期待して見に行きました。
しかし、ただ、だらだら続く残酷描写を見せられただけの印象しか残りませんでした。
途中出てくる、殺人鬼達がブラックな笑いを提供してくれるかと思ったらそうでもなく、情の世界で終わってしまって、突き抜けた感じにはならなくて残念な印象の映画になっていました。そんな、いや~な感じのカルト映画が好きな人にはもしかしたら楽しめるのかもしれません。そんな映画です。
「アメイジング・グレイス」英国で初めて、奴隷貿易禁止の法案を議会に提出した議員の戦いの行く末を描いた感動作です。ストーリーは良いのですが、奴隷たちの心情が胸に迫るように描かれてなく、まるでテレビドラマのような凡庸な演出と、オーラがない主演男優がせっかく脚本を台無しにしているような映画になっていました。テレビでよくやっている歴史再現ドラマを、お金を出してもみたいという人にはお勧めかもしれません。
「ヒアアフター」クリント・イーストウッド監督のように高齢でなければ描けなかった映画かもしれません。
死に直面した人々が、舞い戻った現実社会でどうそのトラウマに対峙するかが、淡々と描かれています。この淡々の所で少しうとうととしてしまいました。
わざと盛り上がらないような演出をしたかのように、こちらが期待した出来事は見事に何も起こらないのです。そしてラストシーンでやっと監督が言いたかった事が分かるのですが、
このシーンが答えではなく始まりになっているのです。つまり途中の淡々さを飛ばしてラストから始めれば感動作になったのではないかとまで思えたほどでした。私にとっては大好きなイーストウッド監督の久々の失敗作だと思います。次に期待します的作品でした。
「アジャストメント」配給会社の宣伝文句、サスペンスアクションなどでは全くない映画。
奇妙な味のショートショートを無理やり伸ばして作ったような作品でした。
敬虔なキリスト教信者の人に感想を聞きたい欲求に駆られるほど、この監督が観客に何を伝えたかったのか、意味不明でした。
「ドリーム・ホーム」残酷描写だけが見どころの映画。バカバカしい位にそれに徹底して描いていれば、ある意味ブラックギャグの利いた、笑える面白映画になったと思いますが、社会派の衣をつけたばかりに、過去の回想場面での失速感が致命的になり、ただいやな感じが前面に出てしまった作品。
才能のある監督には間違いないと思うので、次回作に期待します。
次は面白映画10本です。
「幸せの始まりは」主人公の青年の、父親役のジャック・ニコルソンがいい味出している恋愛映画。
アスリート同士の恋愛模様に笑わされました。
「男達の挽歌」ジョン・ウー監督の香港映画を韓国でリメイクしたアクション映画です。
ある意味、軽いからアクションが生きる作品になっていたオリジナルに比べ、リアルな南北問題を取り入れた本作は、アクションシーンの派手さと南北問題を背負った兄弟の葛藤のシーンがチグハグな印象になってしまい残念でした。
ただ作品を貫く熱気は、流石勢いに乗っている韓国映画の面目躍如というところでしょうか。
最後まで飽きさせない映画にはなっていたと思います。
「英国王のスピーチ」皇室に憧れを抱く、アメリカのセレブ会員達が投票して賞を与える米アカデミー賞で、作品賞ほか主要部門を独占した映画。
ある意味それだけの、あまり深みのない良作(?)でした。
「エンジェル ウォーズ」出だしとラストは素晴らしい惜しい作品です。
脳内で繰り広げられるファンタジー的戦いは、現実世界の絶望的緊張感と比べて退屈な印象でした。そのちぐはぐさがやっとラストになり解消され、ザック・シュナイダ―監督節全開となるのですが、あまりに脳内イメージ世界の長さに正直飽きました。
惜しい本当に惜しい心ぴく映画になり損ねた面白映画です。
「ブルーバレンタイン」愛し合い、良い夫、妻になろうと努力する男女の愛が壊れる様を描いた傑作、<レボリューショナリー・ロード>を思い浮かべて見に行ったのが間違いだったのか、壊れるべくして壊れた夫婦の話という印象でした。
ただその過程の描き方がリアルで、中だるみを一切感じさせない面白映画でした。
「塔の上のラプンツェル」グルム童話をアニメ化したディズニ‐映画です。空に無数の灯篭が舞い上がるところは美しく、一見の価値があります。そんな面白映画です。
「アウェイク」手術中麻酔覚醒、という恐ろしいテーマを扱った映画という事で期待して見に行きました。
しかし、その恐ろしさは、途中から曖昧になり、陰謀サスペンス物になって、見事(?)な、どんでん返しで終わってしまいました。1時間半という時間を効率的に使った面白映画です。ただ私の期待していたすごく痛くて怖い映画にはなっていませんでした。
だから、一般向けのサスペンス映画なので楽しんで見てもらえる映画だと思います。お勧めです。
「ファースター怒りの銃弾」惜しい復讐アクション映画です。登場人物や銃撃シーンの演出は見事で引き込まれますが、
作品のトーンが一定していない為にワチャワチャした印象の映画になっていました。
出だしは、ポップなガイ・リッチー的で、後半ノワールタッチになるとでもいいますか・・。
それが統一されていれば傑作になったと思うのですが・・。
しかし見て損はない、面白アクション映画です。
「Xメン‐ファースト・ジェネレーション」大傑作<キック・アス>監督作という事で期待して見に行きました。
期待が大きすぎたようでした。普通に面白いヒーローアクションものになっていたのにR指定にしない為に無理して創っているんじゃないかと勘ぐってしまうような演出ばかりが鼻についてしまいました。まあハリウッド、ビッグバジェットムービーだから仕方ないか・・的映画です。ただ映画としては、けっしてつまらない映画ではありません。
安心して見られる面白アクション映画です。
「SOMEWHERE」映画俳優とその娘の話です。娘役の美少女が素晴らしく、彼女を見るだけでもおつりがくる映画です。話そのものは、ただいつもはなれている二人が父親の仕事でヨーロッパに一緒に行く、その道中と前後の数日を描いているだけです。しかし、このなんということはない描写に、監督であるソフィア・コッポラの演出がマッチして奇妙な面白さを引き出していました。限りなく傑作に近い面白映画でした。
いよいよ傑作映画8本です。
「生き残るための3つの取引」主人公が、悪徳警官、悪徳検事という韓国ノワール映画です。
とにかく面白い。虚々実々の駆け引きというより、劣等感を持った男達が泥沼の中を這いずり回り、自滅してゆく様が圧巻でした。こんな男達の内面をえぐる作品を作り続ける韓国映画を心底うらやましく感じました。そんなお勧めの傑作映画です。
「再生の朝に‐ある裁判官の選択‐」中国の法律が近代的に改正される直前に、旧法により裁かれ車泥棒の罪だけで死刑の判決を言い渡された男と、担当裁判長を軸に話が展開する佳作。
中国の庶民のリアルな生活描写が見事でした。それに死刑がまだ中国では見せしめのものであるという事が実感できて、衝撃的でした。お勧めの傑作映画です
「ザ・ファイター」実在のボクサー兄弟を描いた映画です。名トレーナーだけど麻薬に手を出すほど駄目な兄を、クリスチャン・ベールが演じていて存在感抜群です。もう一人の天才肌だが家族に引っ張られがちの気の弱さを持った弟ボクサーをマーク・ウォルバーグが演じています。この映画の見どころは、ボクシングシーンなどではなく、2人を取り巻く家族模様の面白さでしょう。ものすごく勝気だが駄目な兄のかたばかり持つ母親、この強烈な個性が映画を引っぱっていると言ってもいいでしょう。そして母親の再婚相手である気の良い義父、そして何人いるか分からない、行かず後家の妹達、こいつらと弟ボクサーの恋人の喧嘩がすごい。
当然、ボクシングの試合のシーンは迫力満点です。見どころ満載のホームドラマの傑作です。
「シリアスマン」コーエン兄弟の不気味なコメディー映画の傑作です。
運がついていないユダヤ系大学教授に次々と小さな悲劇から大きな悲劇までが押し寄せてきます。この映画を見てほとんどの観客は大笑いはしませんが、あちこちからフフとか声が聞こえたような・・。忍び笑い型傑作コメディー映画と言ってもいいでしょう。
そしてラスト、忘れられないシーンで終わります。これがあったればこそ傑作足りえたと私は勝手に思いました。万人にはお勧めしません。忍び笑い型映画が好きな人限定の傑作お勧め映画です。
「愛する人」ハイスクール時代に同級生とのお遊びで妊娠した女性が、まだ若いという理由で娘を手放すところから話が始まります。十数年後、他人の手で成長した娘は、自分の生い立ちを知り早いうちに自活して優秀な弁護士になります。しかし心の中に封印していた傷によって、男との関係の持ち方が普通じゃない事が分かってきます。ここの文字通り体を張ったナオミ・ワッツの演技がすごいです。母親役のアネット・ベニングも、やはりトラウマを抱えた看護師を熱演しています。そして女の業を背負った親子の運命が交差するラストは深い感動が待っています。傑作です。女性にはもちろん、男性にも是非見てほしいお勧めの傑作人間ドラマです。
「アリス・クリードの失踪」登場人物3人だけの誘拐サスペンス映画です。
テンポよく、全編緊張感にあふれています。計算され尽くした画面構成、カット割り、伏線が小気味よく、先の展開を予測させません。
ただ一か所、あまりに間抜けなシーンがありそれさえなければ、心ぴく映画間違いなしでした。ラストも心地よく期待を裏切って良い感じでした。お勧めの傑作です。
「スカイライン‐征服‐」低予算だと信じられない宇宙人侵略物の傑作です。
この10数年間で見た現代を舞台にした侵略物の中で一番面白かったです(<第9地区>は移民宇宙人物で侵略物ではない)。侵略物の最大の欠点は、観客にカタルシスを与えなければと、制作会社が監督に要求するのか、最後に地球人が勝つところです。
だいたい、地球上の戦争一つ終わらせることのできない軍隊が、はるか宇宙の果てから地球にやってくるものすごい科学力の宇宙人に勝てるわけないじゃありませんか。
地球の細菌にやられたとか、コンピューターウイルスにやられたとか、ほとんどギャグの世界です。しかしこの映画は、米軍の命懸けの攻撃さえ通用しない宇宙人のリアルさが描かれていて、ある意味痛快でさえあります。そして続編を是非見たい作りになっているラスト。ある雑誌や一部の人々から、超駄作のレッテルが張られているようですが、私は断然この作品を傑作だと指示します、宇宙人が出てくるだけで、くだらないとレッテルを押す偽映画評論家(映画で飯を食っているんだったら、あらゆる映画に精通しておかねばならない、好き嫌いで判断するのは素人)や何にでもお涙ちょうだいがなければ許せない観客(まるで、お遊戯会をやっているような安っぽいテレビドラマのような日本映画が好きな客に多い。この手の客は、だいたいデートの一環としてたまたま映画館に来たのであるから、関心は隣の客席にあり、なるべく映画の内容は集中しなくても分かる程度の薄いものが良い)には進めませんが、映画愛にあふれた傑作侵略映画です。
映画好きには絶対にお勧めです。
「ロスト・アイズ」スペインのサイコサスペンス映画の傑作です。
大好きな<永遠の子供たち>の主演女優がおなじく主演しています。
大傑作<パンズラビリンス>のギエルモ・デル・トロ監督が、<永遠の~>と同じくプロデュースをしているので面白くないわけがありません。
目が徐々に見えなくなる病気にさいなまれた双子の姉妹の妹が主人公です。
まず、目が見えなくなった、姉が地下室で首を吊った姿で発見されます。自殺として片付けられますが、妹は納得いきません。そんな中病気を治すために、妹は角膜移植手術を受け、一週間は包帯を取れない状態になります。ここからが緊張の連続です。まさに姿なき真犯人が姿を現すのです。この場面は先端恐怖症の人は必ず目を閉じるほどの恐怖の瞬間が用意されています。そしてラストの荘厳で落ち着く描写。人間ドラマとしても一流の作品だと思います。傑作です。お勧めです。ただ、先端恐怖症の人はちょっと遠慮した方がいいかな的映画です。
いよいよ発表の心ぴく映画7本は、次回第67回心ぴく映画コーナー(下)にて発表します。
この4ヶ月間に観た映画はた、「再生の朝に‐ある裁判官の選択‐」「幸せの始まりは」「男ちの挽歌」「ヒアアフター」「英国王のスピーチ」「ザ・ファイター」「愛する人」「SOMEWHERE」「悪魔を見た」「アメイジング・グレイス」「シリアスマン」「エンジェル ウォーズ」「トゥルー・グリット」「ブルーバレンタイン」「キラー・インサイド・ミー」「アンチクライスト」「生き残るための3つの取引」「塔の上のラプンツェル」「ブラック・スワン」「アウェイク」「ショージとタカオ」「ファースター怒りの銃弾」「アジャストメント」「Xメン‐ファースト・ジェネレーション」「アリス・クリードの失踪」「スカイライン‐征服‐」「ロスト・アイズ」「127時間」「ドリーム・ホーム」「ビューティフル」の30本です。
今回のしょんぼり映画は5本です。
「悪魔を見た」『オールドボーイ』のチェ・ミンシクとイ・ビョンホン共演のサイコサスペンスなので期待して見に行きました。
しかし、ただ、だらだら続く残酷描写を見せられただけの印象しか残りませんでした。
途中出てくる、殺人鬼達がブラックな笑いを提供してくれるかと思ったらそうでもなく、情の世界で終わってしまって、突き抜けた感じにはならなくて残念な印象の映画になっていました。そんな、いや~な感じのカルト映画が好きな人にはもしかしたら楽しめるのかもしれません。そんな映画です。
「アメイジング・グレイス」英国で初めて、奴隷貿易禁止の法案を議会に提出した議員の戦いの行く末を描いた感動作です。ストーリーは良いのですが、奴隷たちの心情が胸に迫るように描かれてなく、まるでテレビドラマのような凡庸な演出と、オーラがない主演男優がせっかく脚本を台無しにしているような映画になっていました。テレビでよくやっている歴史再現ドラマを、お金を出してもみたいという人にはお勧めかもしれません。
「ヒアアフター」クリント・イーストウッド監督のように高齢でなければ描けなかった映画かもしれません。
死に直面した人々が、舞い戻った現実社会でどうそのトラウマに対峙するかが、淡々と描かれています。この淡々の所で少しうとうととしてしまいました。
わざと盛り上がらないような演出をしたかのように、こちらが期待した出来事は見事に何も起こらないのです。そしてラストシーンでやっと監督が言いたかった事が分かるのですが、
このシーンが答えではなく始まりになっているのです。つまり途中の淡々さを飛ばしてラストから始めれば感動作になったのではないかとまで思えたほどでした。私にとっては大好きなイーストウッド監督の久々の失敗作だと思います。次に期待します的作品でした。
「アジャストメント」配給会社の宣伝文句、サスペンスアクションなどでは全くない映画。
奇妙な味のショートショートを無理やり伸ばして作ったような作品でした。
敬虔なキリスト教信者の人に感想を聞きたい欲求に駆られるほど、この監督が観客に何を伝えたかったのか、意味不明でした。
「ドリーム・ホーム」残酷描写だけが見どころの映画。バカバカしい位にそれに徹底して描いていれば、ある意味ブラックギャグの利いた、笑える面白映画になったと思いますが、社会派の衣をつけたばかりに、過去の回想場面での失速感が致命的になり、ただいやな感じが前面に出てしまった作品。
才能のある監督には間違いないと思うので、次回作に期待します。
次は面白映画10本です。
「幸せの始まりは」主人公の青年の、父親役のジャック・ニコルソンがいい味出している恋愛映画。
アスリート同士の恋愛模様に笑わされました。
「男達の挽歌」ジョン・ウー監督の香港映画を韓国でリメイクしたアクション映画です。
ある意味、軽いからアクションが生きる作品になっていたオリジナルに比べ、リアルな南北問題を取り入れた本作は、アクションシーンの派手さと南北問題を背負った兄弟の葛藤のシーンがチグハグな印象になってしまい残念でした。
ただ作品を貫く熱気は、流石勢いに乗っている韓国映画の面目躍如というところでしょうか。
最後まで飽きさせない映画にはなっていたと思います。
「英国王のスピーチ」皇室に憧れを抱く、アメリカのセレブ会員達が投票して賞を与える米アカデミー賞で、作品賞ほか主要部門を独占した映画。
ある意味それだけの、あまり深みのない良作(?)でした。
「エンジェル ウォーズ」出だしとラストは素晴らしい惜しい作品です。
脳内で繰り広げられるファンタジー的戦いは、現実世界の絶望的緊張感と比べて退屈な印象でした。そのちぐはぐさがやっとラストになり解消され、ザック・シュナイダ―監督節全開となるのですが、あまりに脳内イメージ世界の長さに正直飽きました。
惜しい本当に惜しい心ぴく映画になり損ねた面白映画です。
「ブルーバレンタイン」愛し合い、良い夫、妻になろうと努力する男女の愛が壊れる様を描いた傑作、<レボリューショナリー・ロード>を思い浮かべて見に行ったのが間違いだったのか、壊れるべくして壊れた夫婦の話という印象でした。
ただその過程の描き方がリアルで、中だるみを一切感じさせない面白映画でした。
「塔の上のラプンツェル」グルム童話をアニメ化したディズニ‐映画です。空に無数の灯篭が舞い上がるところは美しく、一見の価値があります。そんな面白映画です。
「アウェイク」手術中麻酔覚醒、という恐ろしいテーマを扱った映画という事で期待して見に行きました。
しかし、その恐ろしさは、途中から曖昧になり、陰謀サスペンス物になって、見事(?)な、どんでん返しで終わってしまいました。1時間半という時間を効率的に使った面白映画です。ただ私の期待していたすごく痛くて怖い映画にはなっていませんでした。
だから、一般向けのサスペンス映画なので楽しんで見てもらえる映画だと思います。お勧めです。
「ファースター怒りの銃弾」惜しい復讐アクション映画です。登場人物や銃撃シーンの演出は見事で引き込まれますが、
作品のトーンが一定していない為にワチャワチャした印象の映画になっていました。
出だしは、ポップなガイ・リッチー的で、後半ノワールタッチになるとでもいいますか・・。
それが統一されていれば傑作になったと思うのですが・・。
しかし見て損はない、面白アクション映画です。
「Xメン‐ファースト・ジェネレーション」大傑作<キック・アス>監督作という事で期待して見に行きました。
期待が大きすぎたようでした。普通に面白いヒーローアクションものになっていたのにR指定にしない為に無理して創っているんじゃないかと勘ぐってしまうような演出ばかりが鼻についてしまいました。まあハリウッド、ビッグバジェットムービーだから仕方ないか・・的映画です。ただ映画としては、けっしてつまらない映画ではありません。
安心して見られる面白アクション映画です。
「SOMEWHERE」映画俳優とその娘の話です。娘役の美少女が素晴らしく、彼女を見るだけでもおつりがくる映画です。話そのものは、ただいつもはなれている二人が父親の仕事でヨーロッパに一緒に行く、その道中と前後の数日を描いているだけです。しかし、このなんということはない描写に、監督であるソフィア・コッポラの演出がマッチして奇妙な面白さを引き出していました。限りなく傑作に近い面白映画でした。
いよいよ傑作映画8本です。
「生き残るための3つの取引」主人公が、悪徳警官、悪徳検事という韓国ノワール映画です。
とにかく面白い。虚々実々の駆け引きというより、劣等感を持った男達が泥沼の中を這いずり回り、自滅してゆく様が圧巻でした。こんな男達の内面をえぐる作品を作り続ける韓国映画を心底うらやましく感じました。そんなお勧めの傑作映画です。
「再生の朝に‐ある裁判官の選択‐」中国の法律が近代的に改正される直前に、旧法により裁かれ車泥棒の罪だけで死刑の判決を言い渡された男と、担当裁判長を軸に話が展開する佳作。
中国の庶民のリアルな生活描写が見事でした。それに死刑がまだ中国では見せしめのものであるという事が実感できて、衝撃的でした。お勧めの傑作映画です
「ザ・ファイター」実在のボクサー兄弟を描いた映画です。名トレーナーだけど麻薬に手を出すほど駄目な兄を、クリスチャン・ベールが演じていて存在感抜群です。もう一人の天才肌だが家族に引っ張られがちの気の弱さを持った弟ボクサーをマーク・ウォルバーグが演じています。この映画の見どころは、ボクシングシーンなどではなく、2人を取り巻く家族模様の面白さでしょう。ものすごく勝気だが駄目な兄のかたばかり持つ母親、この強烈な個性が映画を引っぱっていると言ってもいいでしょう。そして母親の再婚相手である気の良い義父、そして何人いるか分からない、行かず後家の妹達、こいつらと弟ボクサーの恋人の喧嘩がすごい。
当然、ボクシングの試合のシーンは迫力満点です。見どころ満載のホームドラマの傑作です。
「シリアスマン」コーエン兄弟の不気味なコメディー映画の傑作です。
運がついていないユダヤ系大学教授に次々と小さな悲劇から大きな悲劇までが押し寄せてきます。この映画を見てほとんどの観客は大笑いはしませんが、あちこちからフフとか声が聞こえたような・・。忍び笑い型傑作コメディー映画と言ってもいいでしょう。
そしてラスト、忘れられないシーンで終わります。これがあったればこそ傑作足りえたと私は勝手に思いました。万人にはお勧めしません。忍び笑い型映画が好きな人限定の傑作お勧め映画です。
「愛する人」ハイスクール時代に同級生とのお遊びで妊娠した女性が、まだ若いという理由で娘を手放すところから話が始まります。十数年後、他人の手で成長した娘は、自分の生い立ちを知り早いうちに自活して優秀な弁護士になります。しかし心の中に封印していた傷によって、男との関係の持ち方が普通じゃない事が分かってきます。ここの文字通り体を張ったナオミ・ワッツの演技がすごいです。母親役のアネット・ベニングも、やはりトラウマを抱えた看護師を熱演しています。そして女の業を背負った親子の運命が交差するラストは深い感動が待っています。傑作です。女性にはもちろん、男性にも是非見てほしいお勧めの傑作人間ドラマです。
「アリス・クリードの失踪」登場人物3人だけの誘拐サスペンス映画です。
テンポよく、全編緊張感にあふれています。計算され尽くした画面構成、カット割り、伏線が小気味よく、先の展開を予測させません。
ただ一か所、あまりに間抜けなシーンがありそれさえなければ、心ぴく映画間違いなしでした。ラストも心地よく期待を裏切って良い感じでした。お勧めの傑作です。
「スカイライン‐征服‐」低予算だと信じられない宇宙人侵略物の傑作です。
この10数年間で見た現代を舞台にした侵略物の中で一番面白かったです(<第9地区>は移民宇宙人物で侵略物ではない)。侵略物の最大の欠点は、観客にカタルシスを与えなければと、制作会社が監督に要求するのか、最後に地球人が勝つところです。
だいたい、地球上の戦争一つ終わらせることのできない軍隊が、はるか宇宙の果てから地球にやってくるものすごい科学力の宇宙人に勝てるわけないじゃありませんか。
地球の細菌にやられたとか、コンピューターウイルスにやられたとか、ほとんどギャグの世界です。しかしこの映画は、米軍の命懸けの攻撃さえ通用しない宇宙人のリアルさが描かれていて、ある意味痛快でさえあります。そして続編を是非見たい作りになっているラスト。ある雑誌や一部の人々から、超駄作のレッテルが張られているようですが、私は断然この作品を傑作だと指示します、宇宙人が出てくるだけで、くだらないとレッテルを押す偽映画評論家(映画で飯を食っているんだったら、あらゆる映画に精通しておかねばならない、好き嫌いで判断するのは素人)や何にでもお涙ちょうだいがなければ許せない観客(まるで、お遊戯会をやっているような安っぽいテレビドラマのような日本映画が好きな客に多い。この手の客は、だいたいデートの一環としてたまたま映画館に来たのであるから、関心は隣の客席にあり、なるべく映画の内容は集中しなくても分かる程度の薄いものが良い)には進めませんが、映画愛にあふれた傑作侵略映画です。
映画好きには絶対にお勧めです。
「ロスト・アイズ」スペインのサイコサスペンス映画の傑作です。
大好きな<永遠の子供たち>の主演女優がおなじく主演しています。
大傑作<パンズラビリンス>のギエルモ・デル・トロ監督が、<永遠の~>と同じくプロデュースをしているので面白くないわけがありません。
目が徐々に見えなくなる病気にさいなまれた双子の姉妹の妹が主人公です。
まず、目が見えなくなった、姉が地下室で首を吊った姿で発見されます。自殺として片付けられますが、妹は納得いきません。そんな中病気を治すために、妹は角膜移植手術を受け、一週間は包帯を取れない状態になります。ここからが緊張の連続です。まさに姿なき真犯人が姿を現すのです。この場面は先端恐怖症の人は必ず目を閉じるほどの恐怖の瞬間が用意されています。そしてラストの荘厳で落ち着く描写。人間ドラマとしても一流の作品だと思います。傑作です。お勧めです。ただ、先端恐怖症の人はちょっと遠慮した方がいいかな的映画です。
いよいよ発表の心ぴく映画7本は、次回第67回心ぴく映画コーナー(下)にて発表します。
# by mind-house | 2011-06-27 17:18