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第68回心ぴく映画コーナー(下)

第68回心ぴく映画コーナー(下)です。いよいよ心ぴく映画6本の発表です。
「一命」
いやな映画です。見終わった後こんなにいやな気持になった映画は久しぶりです。
これは、あくまで褒め言葉です。まず絵作りが重厚で、黒澤映画を連想し唸らされました。
そして、どうしようもない閉塞感のまま迎えるラスト。
観客を暗闇に突き落とすラストは圧巻です。
見終わってまさに、現代日本の閉塞感そのものを描き出している傑作ではないかと思いました。この閉塞感は、権力者だけが作りだしているものではなく、虐げられている庶民そのものも日本を閉塞感に溢れさせている共犯者ではないかと、語りかけている所です。
市民革命を起こした事のない、日本人像を時代劇の舞台を借りて真正面から描き出している傑作だと思います。
この映画を見ていやな気分になるのは、まさに私達が日本人だからではないでしょうか?
自分達の中にある、負の部分を見せられているからではないでしょうか?
そんなことまで考えさせられてしまう心ぴく映画の傑作です。
三池監督自身の傑作<十三人の刺客>の正反対のアプローチでまたまた作られた奇蹟的傑作、是非ご覧ください。
「ウインターズ・ボーン」
アメリカ中西部に住み、もっとも貧しいと言われている、アイルランド系アメリカ人、ヒルビリーと言われている人々の生活をリアルに描きながら、犯罪者である父を捜さなければならない、少女のタフで健気な行動に目が釘付けになる傑作です。
始まりからラストまで空を覆う低くたちこめた雲、映画全体を包む雰囲気はこの雲のように暗く、陰惨です。
まるで、命懸けでないと生きられない西部劇の世界にタイムスリップしたように感じるその映画の世界が現実に存在することに、驚かされます。
その中を幼い妹弟、精神の病に冒された母を助けるために17歳の少女が命懸けで父を捜す行動に出るのです。その狭く、親戚や知り合いばかりの村で消えてしまった父を・・。
その中でたった一人味方になってくれるのは、父の兄である、薬中の伯父さんだけ。
ぞくぞくするストーリー展開です。
父との再会(?)場面では、戦慄が走り同時に切なさが溢れました。
そんな心臓がぴくぴくするお薦めの大傑作映画です。

「ミッション8ミニッツ」SF映画の傑作です。
宣伝文句には、<映画通ほど騙される。>などとまるでどんでん返しミステリーサスペンス物のように謳われていますが、まったく違います。そんな思いで見たら。意味が分からない駄作としてしか映らないかもしれません。ラストはあえて様々な解釈が出来るように作られています。それでいいのは、この映画のテーマが事件解決などではなく、主人公の青年の、ある呪縛からの解放にあるからです。精神の自由を求める切なさがこのSF映画の核なのです。だからこそ、あるえないような設定が生きてくるのです。
彼の精神、そして皆の精神が自由になるラストには涙が出ました。
心ぴくSF映画のお薦めの大傑作です。精神を限りなく自由にしてご覧ください。
「チェルノブイリ・ハート」
今見ておかなければならないドキュメント映画です。
チェルノブイリ事故の20年後の真実が明らかにされています。おそらく、いや限りなく近い事がこれから我が国でも起こるでしょう。そうなれば我が国の存続そのものが危ぶまれる事態になるかもしれません。無関心は罪だと思い知らされるでしょう。しかしその時後悔しても遅いのです。
しかし、ロングランを続けるこの作品に対する、マスコミのまるで無関心を装うような態度はどうでしょうか。
この作品が、やらせドキュメンタリーと非難するネットの書き込みもありますが、そう思うのなら社会正義を実行するマスコミが徹底的にこの映画をたたくべきです。
そんな事もせず、まるで触れること自体を恐れているとしか思えない無視した状態は異常を通り越しています。
確かに、この映画をゴールデンタイムで流した場合、まちがいなく、ほとんどの国民は反原発の方に傾くのは目に見えているのですから。
それほど、強烈な真実の映像が映し出されています。原発を稼働させたい人々は絶対に一般市民に観せたくないと心に誓うドキュメンタリー映画、それがチェルノブイリ・ハートなのです。この題名の意味にも戦慄します。
今、日本人の、選挙権を持つ全ての人がその責任において必ず見ておかなければならない映画。それがチェルノブイリ・ハートなのです。
「ラスト・ターゲット」
殺し屋物の傑作です。引退を意識した中年の殺し屋の心情を、ジョージ・クルーニーが見事に演じ切っています。最後の仕事の舞台であるイタリアの古都、そこで知り合った神父と娼婦。仕事の連絡係をする謎の女、全てのキャラクターに謎があり素晴らしく魅力的です。緊張感みなぎる会話シーン。疑いながらも抱いてはいけない感情を娼婦に見出す男の切なさ、濃厚なベットシーン。まさにこれこそ大人のアクション映画です。
ラストの原題(暗闇の蝶)を彷彿とさせるシーンは感動的です。
そんな傑作心ぴく映画です。
超お薦め作品です。
「4デイズ」テロリストと、拷問のプロ、そしてFBI捜査官の虚々実々の駆け引きを描いたポリティカルサスペンスの大傑作です。
主役3人にはそれぞれの正義があり、その信念のために突き進んでいきます。
テロリストは、侵略国家アメリカに正義の鉄槌を振り下ろすために都市部に核爆弾を仕掛けます。拷問のプロはアメリカを救うために手段を選ばず、テロリストを痛めつけます。
FBI捜査官の女性は、倫理観を守りながらの捜査が民主主義の最後の砦だと信じて行動しようとします。
核が爆発するまで4日しかありません。この地獄のような状況で己が信念をぐらつかせる者。信念を貫き通そうとする者。別の信念を見出す者。そんな心の変化が見事に描き出されていきます。正義・悪を超越してゆく過程が素晴らしすぎます。
一切の妥協を許さない腹の据わった脚本が見事です。
まさかと思わせる展開、そして命懸けの信念を持った者の強さが勝利(?)するラスト。
ため息が出るような素晴らしいストーリー、人間ドラマと、世界情勢がリアルに融合した奇蹟的な映画です。
まさにこれこそ心ぴく映画の大傑作。超超お薦め映画です。
是非是非見てください。

  by mind-house | 2011-11-14 01:11

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