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第68回心ぴく映画コーナー(上)

第68回心ぴく映画コーナー(上)です。
この4カ月間に観た映画は「アザー・ガイズ 俺たち躍るハイパー刑事!」「モールス」「ツリー・オブ・ライフ」「ハンナ」「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」「ラスト・ターゲット」「水曜日のエミリア」「チェルノブイリ・ハート」「メカニック」「復讐捜査線」「エッセンシャル・キリング」「ゴーストライター」「一枚のハガキ」「スーパー」「マイティ・ソー」「ピラニア3D」「アジョシ」「モンスターズ 地球外生命体」「この愛のために撃て」「監督失格」「スリーデイズ」「4デイズ」「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」「リミットレス」「ワイルド・スピードMEGA MAX」「ブリッツ」「一命」「ウインターズ・ボーン」「サウダージ」「人喰い猪、公民館襲撃す!」「ミッション8ミニッツ」「フェアゲーム」「ランゴ」「ラビット・ホール」の34本です。
今回のしょんぼり映画 は7本
「ハンナ」美少女殺し屋物。直接的描写は避けて、おとぎ話風にしていた為に全然乗れなかった。役者は頑張っていたのに残念な作品。
「復讐捜査線」期待して観に行ったのが間違いだった。
主人公のスーパー刑事的行動と、社会派サスペンス的物語が噛み合ってなくて、やはり乗れなかった。良いアクションシーンはあるのに残念。
「マイティ・ソー」神々の戦いを描いたプロローグは、3Dにマッチして良かったが、舞台が地上に移ってから盛り上がらず残念。
「アジョシ」主人公が若く良い男すぎて、アジョシ=おじさんにはとても見えない。元特殊部隊員と言うだけで強すぎて、まったくハラハラドキドキしなかった。韓国映画がアメリカ産80年代アクション映画(セガール・チャックノリス的映画)的になって行くのがたまらなく残念。
「この愛のために撃て」
うまくいきすぎ仏サスペンス映画。中盤は良かったが、やはりラストの御都合主義演出には乗れなかった。
「スリーデイズ」<この愛のために撃て>の仏監督が撮った前作のアメリカ版リメイク。
やはりうまくいきすぎサスペンスで、ラストがどうも的作品。
「フェアゲーム」名優ショーン・ペンとナオミ・ワッツ共演の実録スパイ映画ということで期待して見に行きました。しかし前半1時間は眠気との戦いでした。平凡な演出。良い人と悪い人と記号で語られるほどの薄い人間描写。名優2人が熱演している分、逆に観ていてつらい映画でした。これならドキュメント映画にしたほうがどれだけ衝撃的映画になった事か・・。
監督ダグ・リーマン。アクション演出では少しは見られる物を作れるだけに、社会派や、人間ドラマには手を出さないで、アクション職人監督の道を突き進んでください。そんな
監督、ミスマッチ映画です。
次は面白映画14本です。
「アザー・ガイズ 俺たち躍るハイパー刑事」御存知ウィル・フェレル主演のコメディー映画。脇役のスーパー刑事コンビの行動(?)に大笑い。傑作<俺たちフィギアスケーター>まではいかないが、かなり笑えます的面白映画です。
「水曜日のエミリア」
主演のナタリー・ポートマンのトラウマ的演技を、<ブラックスワン>ほどではないが、そこそこ楽しめる映画。父親との関係が良い。
「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」CG演出は、相変らずすごい。が、ストーリーはシリーズ3作の中で1番弱い。
ただ、面白い事は面白い映画。
「エッセンシャル・キリング」
アラブ兵が、ヨーロッパの雪原をただ逃げ回るだけの描写が面白い。
少しリアリズムに欠ける演出はあるものの楽しめる映画。
「ゴーストライター」
不安描写の名手であるロマン・ポランスキーの社会派サスペンス映画。
ある意味、民主主義を理想に掲げる国で観ると、考えさせられるラストを持つ傑作だが、
我が国で見ると、なぜそこまでして、スキャンダルを隠すのか分からないという観客が多くいるという可能性がある映画。
民主主義の必須条件は、マスコミが権力の監視機関として機能している事。
この事からして我が国は、そうでないことは明らかでしょう。
自分がそんな国にならされていたら、ラストは?な感じに見えるかもしれません。
そんな自分自身を判断できるオマケも付く映画になっています。お薦め面白映画です。
「ブリッツ」ジェイソン・ステイサム主演のそこそこ楽しめるサイコサスペンス風アクション映画。
どちらかに思い切ってシフトしていたら傑作になったかもな作品。
「モールス」
傑作スウェーデン映画<僕のエリ 200歳の少女>の完全コピーアメリカ映画。面白いのは当然だが、なぜか<僕のエリ~>より深みに欠ける映画に・・・。
「モンスターズ 地球外生命体」低予算宇宙生物襲来映画、低予算でほとんど宇宙生物は姿を現さないが、それが逆にリアリティーを高めている。ラストの全身を現すところがなかなか良かった映画です。
「ランゴ」
リアルで汚い生物たちばかり出るCGアニメ。しかし、意外に話はまっとうな西部劇である為、意外な物語の展開はなし、絵作りが凝っている分、惜しい作品になっています。
「メカニック」これも、ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画。70年代のブロンソン主演作のリメイクだが、殺し屋アクションなだけにブレルことはなく、痛快に楽しませてくれる。
前述した<ブリッツ>より間違いなく面白い作品。
「ワイルド・スピードMEGA MAX」
ワイルド・スピードシリーズで一番面白かった。車泥棒の親玉役のヴィン・ディーゼルと警官役のザ・ロックの肉弾戦やカーアクションは見ごたえあり、突っ込みどころは満載だが、最後まで飽きさせない面白映画になっていました。
「人喰い猪、公民館襲撃す!」思わぬ拾い物動物パニックムービー。猪CGの出来はそれほどではないが、出てくる登場人物全てに個性があり、へたな人間ドラマよりよほど見ごたえがありました。
「リミットレス」人間の脳をフルに働かせる薬が出来たらどうなるかを描いた映画。
薬を飲んだ後の脳の働きを具体的にCGで見せる所が新しく面白い。
ただラストがハリウッド的になったのが残念。もう少しで傑作になった面白映画です。
「1枚のハガキ」99歳の新藤兼人監督の実体験から生まれた映画。戦争の非人間さが静かに伝わってくる傑作になっていました。
太平洋戦争当時の女性の生き様を、大竹しのぶがリアルに熱演して素直に感動で来ました。
というわけで次は傑作映画7本です。
「ツリー・オブ・ライフ」テレンス・マリック監督の、アメリカのバラ色と言われた50年代の家族の映画です。現代の我が国にも通じる普遍的な家族の姿が描かれ、仕事で成功する事が男として立派な事と信じる父親像をブラッド・ピットが演じていて身につまされました。妻は良妻賢母型の女性で子供を愛し、夫を立て続けようとします。しかし、うまくいかない所がまたまた身に詰まされました。プロローグ30分の地球誕生から恐竜出現の映像には驚かされましたが。神の視線を絶えず感じて生活している敬虔なキリスト教信者にとっては至極当然の映像だったに違いありません。壮大な映像が気に食わない方は、登場する家族の生き様にのみ興味をもってみても飽きさせない傑作になっていると思います。お勧め映画です。
「スーパー」
切れている奴ばかりが登場する、傑作<キック・アス>から映画的風格を取り除いたような、残虐コメディー映画。好き嫌いがはっきり分かれる映画には私的には傑作が多いと思います。中途半端ではなく、思いきりの良さがぶれない空気を作っているからだと思います。この映画もそういう作りでついてこれない人は置き去り映画ですが、傑作です。
好きな人だけにお薦めの傑作映画です。
「ピラニア3D」これぞ、3Dの効果を正しく使った見世物的パニック物の傑作。
飛び出すオ00イ、吐き出されるチ00、逃げまどい喰い散らかされる人々、悲鳴とお笑いが、ごちゃ混ぜになった傑作パニックコメディーです。
これも好きな人だけ見てください。クセになりますよ。お薦めです。
「監督失格」
亡くなった伝説のAⅤ嬢とAⅤ監督との愛憎をつづったドキュメンタリー映画です。
奇妙な縁で結ばれた2人の人間の軌跡に心揺さぶられました。とても面白かったです。
それより(?)面白かったのが、おそらくAⅤ作品などまともに見た事がない女性観客の反応です。どうやら素直な恋愛ドキュメントとして感動し、あちこちですすり泣きが聞こえていました。それはそれで正しい映画の楽しみ方だと思うのですが、できれば外道の如く女体を持て遊ぶ、AⅤ監督の所業を目の当たりにしてからこの映画を見たらもっと生々しい人間の体臭まで感じられて、この映画の成り立ちを裏から想像できるという、初めて味わう感動まで行けたかもしれません。そんな色々な事を考えさせてくれた傑作ドキュメンタリー映画です。
「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」
猿達に大共感し、燃える革命ストーリーになっていました。
個性的でカッコいい猿達に比べて人間のなんてせせこましい事。その描写がさらに猿達への共感を増幅させる演出になっていて見事です。とても面白い映画です。
他の猿の惑星シリーズを見ていなくても大丈夫な独立した傑作<猿の惑星>です。
万人にお勧めの近頃稀有な傑作娯楽映画です。
「ラビット・ホール」
ニコール・キッドマンが、幼い息子を事故で亡くしたトラウマで苦しむ母親を演じている人間ドラマです。静かで落ち着いた雰囲気がアメリカ映画にはない空気感を醸し出していて良かったです。主人公の周りの夫や家族の気持ちの揺れ動きが繊細なタッチで描かれていていつまでの心に残りました。そして、幼い息子を引き殺してしまった、高校生との交流。その少年の心情が、手作りのコミックブックのラビット・ホールに凝縮されていて目頭が熱くなりました。ラストの余韻を含んだ終わり方も良く、傑作に値する作品だと思いました。
「サウダージ」
日本映画の傑作です。
山梨県、甲府市のシャッター通りと化した街を舞台に、右翼系ラッパーの若者、土木作業員の青年、その妻の元キャバクラ嬢、愛人のタイ人ホステス、怪しげな水を販売しているヤクザ、出稼ぎの日系ブラジル人達など、色々な人々の生き様を描いてゆく群集劇です。
この映画の驚異的な事は、多くの登場人物それぞれの個性が見事に描き出されている事です。
普通の映画なら一人や二人の登場人物の描き方が薄く、見終わった後で、そういえばあの人物いつのまにか消えたなという感じが残るモノですが、丁寧に描きこまれた人々がその街の絶望とかすかな希望を描き出していて、2時間40分という長さを微塵も感じさせません。傑作です。まさか日本映画で名匠ロバート・アルトマン的群像劇の傑作を見る事が出来ると思いませんでした。是非見てください。

  by mind-house | 2011-11-14 01:00

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