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第67回心ぴく映画コーナー(下)

第67回心ぴく映画コーナー(下)です。
心臓がぴくぴくするほどの巻来功士的大感動作品、この4ヶ月間に観た最強の心ぴく映画7本を紹介します。
「トゥルー・グリッド」天才コーエン兄弟が放つ、本格西部劇の傑作。これまでのコメディー調の奇をてらった演出を抑え、どっしりと落ち着いたカメラワークで荒野の荒々しさを表現していて素晴らしいです。父の敵を討ちたい少女と、それを助ける老ガンマン、それと懸賞金目当てのテキサスレンジャーがそれぞれの人生をかけた旅に出ます。予測不可能な展開にわくわくさせられ、ラストは心に響く<人間の業>まで描けていて、まさに超心ぴく感動の大お薦め作になっていました。星空の美しさが絶品、それだけで何杯もおかわり出来る傑作映画です。
「キラー・インサイド・ミー」ノワール・ピカレスクの大傑作です。主人公のある意味、筋を通したヒトデナシ感が爽快にさえ見えてくるという離れ業をやり成功している稀有な作品です。
極悪な主人公に純情を尽くす女性達が絶品です。もしかしたら娼婦役を演じたジェシカ・アルバの代表作になるかもしれない、それほど素晴らしく役になりきっていると思いました。
もう一人の女を演じたケイト・ハドソンも当然の如く素晴らしいです。
とても恐ろしく、胸が悪くなるような描写がありつつ、ラストの絶望が爽快でさえある。
私の心をゆさぶり、まさに心臓ぴくぴくにしてくれた大傑作です。
見たら絶対に心を揺さぶられますよ(安っぽい感動とは無関係の、ほんとに心臓をわし掴みにされる感じ)的映画で、絶対のお薦め作です。心してご覧ください。
 
「アンチ・クライスト」この作品も、心をわし掴みにされる大傑作です。
登場人物はほとんど2人だけです。ある夫婦のセックス中に、幼いわが子が窓から落ちて死んでしまいます。それが原因で心を病んだ妻を治療しようと精神科医である夫は、二人きりで、山奥の別荘に出かけます。それからの狂気の描写のたたみ掛けが、唖然とするほどうまく、画面作りは絵画のようで唸らされます。聖書の言葉を引用しつつ心臓がぴくぴくするほどの素晴らしく、おぞましい光景が幻想画のように展開していきます。ウィリアム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールの体当たりの演技にも目を見張らされました。そしてこの題名の意味が明らかになる終盤、そしてラスト素晴らしいシーンで終わります。天才ラース・フォン・トリアー監督の傑作<ドッグヴィル>に勝るとも劣らない大傑作です。
この作品も安っぽい感動なんてありませんよ。心臓に直接爪を立てるような(?)超お薦めの傑作心ぴく映画です。是非、心してご覧ください。
「ブラック・スワン」御存知、サイコ・バレエ(?)映画の傑作です。
主演のナタリー・ポートマンをネチネチといじめるような監督の演出が抜群です。
まるで名匠ブライアン・デ・パルマ監督の名作<キャリー>を思い浮かべてしまったほどです。お薦めですと言わなくても良い位に日本でもヒットしているのでとても嬉しいです的傑作心ぴく映画です。 
「ショージとタカオ」有名な布川事件の犯人にされ、20数年間も刑務所に入れられやっと10年前に釈放された2人の、冤罪裁判での戦いを描いたドキュメント映画の大傑作です。
この映画は、テレビのゴールデンタイムでやるべきです。
3.11以降の今でこそ、この国の形を知るいい機会になると思います。
皆が気付き始めている、どす黒い部分がしっかりと映し出されています。そして解るはずです、この国の権力者たちが一番大切なものは、国民の幸せなのか?自分達だけを安定的に幸せにしてくれるシステムだけを守りたいのか ?
ほんとに恐ろしい事です。この事件を30年ぶりに解決させたのは国民を守るはずの権力者ではありませんでした。手弁当で集まった弁護団と市民達が30年の戦いを支えてやっと勝てたのです。やはり自浄作用がないと結論付けざるを得ない、この国の体制を変えるのは市民つまり私達個人個人が声を上げるしかない事を分からせてくれる、絶対見るべき映画なのです。この国の絶望的現実を直視してそれを変えることでしかこの国の再生はありえない。そんなことまで考えさせてくれる大傑作心ぴくドキュメント映画です。
是非是非見てください。
「127時間」トレッキングが趣味の若者に起こった実際の出来事を描いた傑作です。
私も山歩きが趣味なので、最初っから心臓が高鳴っていました。
山に出かける青年のわくわくした気持ちが溢れている出だしから、凄惨かつ大感動のラストまで中だるみなく一気に見せ切る演出はまさに天才肌です。
<トレンスポッティング>でみせたダニー・ボイル監督のスピード感溢れる演出が戻り、とても嬉しい限りです。
同時に自然の美しさの演出も素晴らしく、渡りガラスのシーンには涙が出ました。
そして当然、文字通りの命をかけた脱出シーン。それをやり遂げた主人公の、色々な物が入り混じった表情の素晴らしさ。心底感動して、目頭が熱くなりました。
山歩きをする人のみならず、全ての人に勇気を与えてくれる大傑作です。
超お薦めの心ぴく映画です。是非見てください。
「ビューティフル」スペインのバルセロナそのものが主人公と言っていいほど、街の息吹が匂ってくるほどのリアリズム演出で見せる大傑作映画です。
主人公は、心身症を患っている妻と別居して小学校の高学年の長女と低学年の長男、2人の子供を育てている40男です。
仕事は、不法移民の仕事のあっせんという少しヤクザな商売で、自分が目を掛けてやっている中国人家庭との、ある事件が彼の人生を大きく変えていきます。
そして、自分の深刻な病も・・。
全てのリアリズム演出が素晴らしく、見ていてため息の連続でした。
まるで、まだ日本映画というものが存在していた頃(今大きな劇場で上映している邦画のほとんどはテレビドラマであって映画ではない)の名匠の映画を見ているようでした。
その演出で、最初多少ルール無視だと思われた主人公の、特殊な感覚演出が、中盤からリアリズムを逆に増幅させるという奇蹟的な効果になっていたのには、思わず唸ってしまいました。とにかく、エキサイティングで、切なく、心を震わせる感動の大傑作心ぴく映画です。主演のハビエル・バルデム以下全ての役者が完璧な演技を披露しています。
これこそ映画です。
是非ともご覧ください。超お薦めの名作です。

  by mind-house | 2011-07-11 00:17

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